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試合前に「四股」・冬に相撲部屋で稽古…日下尚、国技生かした「前進力」で栄冠

読売新聞 / 2024年8月8日 18時20分

男子グレコローマン77キロ級決勝でカザフスタンの選手(下)を破り、金メダルの日下尚=関口寛人撮影

 パリ五輪のレスリングは、7日に行われた男子グレコローマン77キロ級決勝で、初出場の 日下尚 くさかなお(三恵海運)が、デメウ・ジャドラエフ(カザフスタン)を5―2で破り、金メダルに輝いた。女子50キロ級の須崎優衣(キッツ)は東京大会に続く2連覇を逃したが、3位決定戦でオクサナ・リバチ(ウクライナ)を下して銅メダル。女子53キロ級の藤波 朱理 あかり(日体大)は、銀メダル以上が確定した。男子グレコローマン67キロ級の曽我部京太郎(ALSOK)は、1回戦で敗退した。

相撲仕込みの「圧」かけ逆転

 劣勢を覆したのは相撲仕込みの「前進力」だった。日下は前に出て、決して下がらず攻め続け、金メダルを勝ち取った。

 第1ピリオド、序盤から果敢に攻めたが、世界ランキング7位のジャドラエフの守りを崩せない。「相手のペースで試合を作られて焦った」。うまく場外へ押し出されるなど、2点のリードを奪われて折り返した。

 勝負の第2ピリオド。「ラスト3分、人生を変える思いで前に出る」と腹をくくった。開始直後、相手に密着して力強く押し倒し、背後を取って同点に。ここから形勢が逆転した。ひたすら圧力をかけ、押して、押して、反撃を許さない。着実にポイントを重ね、逆転勝ちした。

 小中学生の頃に習った相撲の感覚でレスリングを語る。相手を押す時は、下から上に力を伝える「突き上げ」のイメージを大切にする。力が伝わりやすいと感じるからだ。練習や試合前に踏む四股は、鍛錬でもあるが、「『足腰が大事』と自分(の感覚)に植え付けるためにやっている」。感覚をさらに磨くため、2月には複数の相撲部屋を訪ね、稽古で汗を流した。

 大一番でも独自の感覚を生かした「圧」がものを言った。第2ピリオドの後半、密着するジャドラエフが少しずつ根負けし、勢いを失うのを肌で感じた。「相手がしんどい時にこそさらに動き、攻め続けるのが自分の持ち味。今日はそれが出せたかな」。どんな屈強な相手でも絶対に足を止めない力は、圧巻だった。(佐野司)

無敵街道またここから、須崎が立て直し圧勝

女子50キロ級3位決定戦

 前日にまさかの1回戦負けを喫して大泣きした須崎が、気迫の表情を取り戻して3位決定戦のマットに上がった。「須崎優衣のレスリングを出しきろう」と心に決めていた。

 試合前、須崎を破った後に決勝まで勝ち進んだインド選手が計量で失格となったが、「自分がやるべきことは変わらない」と集中していた。失格の影響で敗者復活戦を経ず、いきなりメダルを懸けた一戦を迎えた。低いタックルを起点に背後を取って得点を重ね、ウクライナ選手を圧倒。テクニカルスペリオリティー(テクニカルフォールから改称)勝ちを収めた。

 日本レスリング協会によると、須崎は前日の敗戦まで外国選手との対戦で94連勝など無敵を誇った。表彰台の死守は相手よりも自分自身が短時間で気持ちを立て直せるかがカギだったといえる。敗戦後、応援に駆けつけた家族と会った。「たくさん泣かせてしまった。銅メダルだけど、しっかり勝って、笑って日本に帰ってもらいたい」。金メダルだった目標を切り替えて、試合に臨んだ。

 「勝って終わることで、少しでも自分を肯定してあげたいと思って戦った」と須崎。悔しさを感じながら戦い抜いて獲得した銅メダルは、今後に向け、大きな足がかりとなるはずだ。(大舘司)

藤波、危なげなし…女子53キロ級「銀」以上

 初出場の藤波が公式戦の連勝を「136」に伸ばし、銀メダル以上を確定させた。1回戦は米国選手を2分5秒、2回戦はモンゴル選手を4分40秒でいずれもフォール勝ち。準決勝は、東京五輪銀メダルの中国選手をタックルから素早く背後を取る攻めで攻略し、テクニカルスペリオリティー勝ちで危なげなく決勝に進んだ。

 3月の練習中に左肘 靱帯 じんたいを痛めて手術を受け、対外試合は1月の東日本大学女子リーグ戦以来。「楽しみな気持ちと良い緊張感を持って試合に挑んだ。やっぱり観客の声など他の大会とは違うなと身に染みて感じた。入場から試合まですごく楽しんでできた」と話した。

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