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初の「巨大地震注意」に自治体や住民、困惑の中で備え急ぐ…「何をしていいか正直わからない」

読売新聞 / 2024年8月8日 22時33分

 宮崎県沖を震源とする地震で南海トラフ地震の「臨時情報(巨大地震注意)」が初めて発表された8日、関係機関や各地の住民らに大きな衝撃が走った。九州から関東の自治体では担当者が対応に追われ、災害弱者を抱える施設や観光業者にも困惑が広がった。

      ■再確認を

 「どこに逃げるか。避難経路がどこにあるか。再確認する必要がある」。東京・虎ノ門の気象庁。8日夜に記者会見した同庁の評価検討会会長の平田直・東京大名誉教授は、初の「巨大地震注意」の発表を受け、こう強調した。

 この日出された巨大地震注意は、想定震源域内のプレート境界でマグニチュード7以上8未満の地震か、異常なゆっくりすべりが起きたと判断された場合に発表される。平田氏は「注意は1週間続けてほしい」と呼びかけた。

     ■避難所開設

 震度5弱を観測した宮崎県高鍋町では、職員が次の地震への備えを進めた。指定避難所の開設や、町民への避難準備の呼びかけが予想され、町危機管理課の佐藤雄政主事は「長丁場になると思う」と語った。

 南海トラフ地震で国内最大34メートルの津波が想定される高知県黒潮町は、町内全域に「高齢者等避難」を発令し、29か所に避難所を開設した。同県南国市も、市内全域で「高齢者等避難」を出す方向で検討を始めた。

 高知市の鴨田ふれあいセンターでは、午後8時半に避難所が開設され、多くの住民が集まった。高知大理工学部4年の学生(22)は「大学の寮が古い建物なので、不安になって来た」と話した。

 三重県や愛知県などは8日夕、災害対策本部を設置。三重県尾鷲市は防災行政無線を通じて、「1週間程度は十分注意してください」と呼びかけた。静岡県も警戒態勢に移行。神奈川県庁では危機管理対策会議の幹事会が開かれた。

 交通にも影響が出た。JR東海は8日夜、東海道新幹線の三島(静岡)―三河安城(愛知)間で速度を落としての運転を始めた。今後1週間程度、同様の運行を続ける予定で、東海道新幹線は上下線で少なくとも10分以上の遅れが見込まれるという。

    ■「何をしたら」

 震源に近い日向灘沿岸にある宮崎県日南市の特別養護老人ホーム「くろしおの里」の河野祐樹事務長(47)は「何をしていいか正直わからない」と不安を口にした。地震発生時、建物内には約80人の入所者、利用者がいた。

 巨大地震注意では、すぐに避難できる準備を求めているが、時間帯によっては職員が少なく、駆け付けるのも難しいことが想定される。河野さんは「何をすべきか考えたい」と話した。

 南海トラフ地震が発生した際、数分で津波が押し寄せるとされる和歌山県串本町。釣り客向けに遊漁船業を営む岩谷裕平さん(66)は「9日以降は海に出るのを控えるつもり。備蓄や避難ルートは普段から確かめているが、改めて確認したい」と語った。

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