京都国際、殻破る内角攻め

３失点で完投した京都国際の中崎（８日）＝後藤嘉信撮影

　第１０６回全国高校野球大会第２日の８日、１回戦３試合が行われた。大阪桐蔭（大阪）の中野が興南（沖縄）相手に今大会完封一番乗りを果たし、春夏連覇校同士の対決を制した。小松大谷（石川）は１６安打８得点で明豊（大分）に打ち勝ち、甲子園初勝利。２部制で夕方から始まった第３試合は、京都国際（京都）が札幌日大（南北海道）に快勝し、４強入りした２０２１年以来の白星を挙げた。

京都国際７―３札幌日大

　京都国際は一回に二つの四球などで好機を作り、単打４本を集めて４点を先行。三回は金本、四回には藤本の適時打などで加点した。中崎が３失点完投。札幌日大は九回に２点を返し、粘りを見せた。

選抜打たれた直球で三振

　五回、１点を失い、なおも一死一、二塁で、京都国際バッテリーは３番打者と 対峙 （たいじ）した。追い込むと、捕手の奥井は「絶対、放りきってくれる」と中崎を信じ、内角直球を勝負球に選んだ。

　エースは要求通りに直球を投げ込み、右打者から見逃し三振を奪った。４番の打席で二塁走者が盗塁を試みたが、中崎は冷静に三塁へ送球してアウトにした。

　今春の選抜では初戦でサヨナラ打を浴びた。内角直球がシュート回転して甘く入ったところを右打者に捉えられた。「甲子園の借りは甲子園でしか返せない」。大会後、奥井とともに制球を磨き、精神力を鍛えた。ブルペンで打者を立たせ、窮地を想定し、奥井のサイン通りに投球してきた。

　「ピンチでも（コースに）投げきれるメンタルを身につけ、その成果を出せた」と中崎。１２安打を浴びながらも１２三振を奪い、一人で投げ抜いた。チームを勝利に導き、成長の跡を示してみせた。（豊嶋茉莉）

札幌日大２番手　強気の投球貫く

　序盤に失点した札幌日大は、２番手の２年生右腕・島田が試合を引き締めた。四回一死一、三塁で登板すると、長打を浴びるなどして走者はかえされたが、五回以降は直球主体の強気の投球で無失点に抑えた。精神面で課題があり、南北海道大会では２イニングのみの登板。その後、先輩らからの助言を受けて精神的に強くなれたといい、「３年生には感謝しかない。この経験を生かしたい」と話した。