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学術会議の改革 社会の課題解決へ見直し急げ

読売新聞 / 2024年8月9日 5時0分

 日本学術会議があらゆる改革案を拒み続けている以上、組織運営の細部をどう見直すか延々と議論していても、らちが明かないのではないか。

 学術会議を透明性の高い組織とするため、政府主導で改革の内容を決めるべきだ。

 学術会議のあり方を検討している内閣府の有識者懇談会(座長・岸輝雄東大名誉教授)の作業部会が、改革案をまとめた。

 内閣府は昨年末、現在は「国の特別な機関」に位置づけられている学術会議を、国から独立した法人に移行させる方針を決めた。これを踏まえ、作業部会が具体的な制度設計を検討してきた。

 改革案はまず、現役会員の推薦で決まる現在の新規会員の選考方法を改めるよう求めた。法人化後も推薦制度の維持は認める一方、推薦された人の中から、会員が投票で選ぶ仕組みを提案した。

 学術会議の会員は、専門が似通った研究者が集まりがちだ、とされる。投票の導入は、様々な社会の課題を解決するため、幅広い視点で人材を選ぶ狙いがある。

 学術会議には毎年、10億円近い国費が投入されている。

 改革案は、法人化後も財政支援を継続する代わりに、中期的な活動計画の策定や、業績を調査する評価委員会の設置も提案した。国が任命する「監事」が財務状況などを監査することも明記した。

 国に運営資金を頼るのならば、どのような成果を上げたかや、国費が適正に使われているかを点検するのは当然だ。国から交付金を受け取っている国立大学法人もこうした制度を導入している。

 だが、学術会議はこの改革案に対し「アカデミーの活動を阻害するもので到底受け入れられない」とする談話を発表した。「国を代表する機関としての地位」や「安定した財政基盤」「会員選考の自主性」の維持も求めている。

 国費をもらいながら、自分たちの活動には口を出すな、という姿勢は身勝手過ぎる。改革に背を向け続け、納税者である国民の理解を得られると思っているのか。

 岸田内閣は昨年の通常国会に、会員選考に外部の識者が関わる学術会議法の改正案を提出しようとしたが、この時も、学術会議が反発し、法案提出が見送られた。

 コロナ禍の際も、学術会議が十分に役割を果たしたとは言えない。軍民両用(デュアルユース)の研究については表向き容認しながら、実際には否定的で、装備品の研究開発の 足枷 あしかせになっている。組織改革は急務なはずだ。

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