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16人ものメダリスト尊敬、美しい会場と有観客の「祝祭」に喜び…太田雄貴さん寄稿

読売新聞 / 2024年8月9日 8時1分

太田雄貴氏

フェンシング五輪銀メダリスト 太田雄貴さん 38

 開幕前にパリに入り、国際オリンピック委員会(IOC)委員として、様々な競技会場を訪れている。

 フェンシングでは日本勢がメダルを獲得する多くの瞬間に立ち会うことができた。フェンシングだけで、今回は16人がメダルを手に入れた。後輩たちの活躍は素直にうれしいし、「五輪に出場してメダルをとる」――という小さい頃からの夢をかなえた彼女、彼らを心から尊敬する。パリ五輪のメダリストとして、今後は新たな責任も生じるし、立ち振る舞いも注目される。競技で更なる結果を残すことに加え、フェンシングの楽しさや素晴らしさをより多くの人に伝えることも意識してほしい。

 競技の伝統国の重厚さを演出した「グラン・パレ」は、フェンシングの五輪会場としては過去の大会に比べても別格の素晴らしさがあった。今回はこのほかにも馬術のベルサイユ宮殿や、ビーチバレーボールの仮設会場をエッフェル塔が見える位置に設けるなどパリの観光資源をうまく活用している。美しいパリの映像は競技の中継や配信を通じて世界中にも広く発信されていると思う。

 開会式も斬新で楽しかったが、有観客の五輪が復活しあらゆる会場が熱気にあふれているのが何よりもうれしい。フランスに関係ない試合でも満員御礼となっていて、グラン・パレもチケットが買えないほどだった。もともと欧州はスポーツ観戦の文化が根付いている国が多く、五輪会場でも、応援のスタイルは様々だが、観客は多くの国の選手に拍手を送っている。この雰囲気でプレーできる選手も幸せだし、「祝祭」のような雰囲気の中に身を置けたことは僕にとっての五輪のハイライトになった。

 一方、残念なのがSNSなどによる選手への 誹謗 ひぼう中傷が多いことだ。フェンシングでは日本の選手に敗れたイタリアの選手が母国でネットで攻撃されている。決して日本だけの話ではない。有名になったからといって、選手は自分のプライバシーをあきらめたり捨てたりしたわけではない。アスリートの保護や心のケア、法レベルの対策など、スポーツに関わる関係者らがやらなければならないことは多い。

 おおた・ゆうき 1985年生まれ。2008年北京五輪フェンシング男子フルーレ個人で日本人初の銀メダル、12年ロンドン五輪で団体銀を獲得した。15年世界選手権の男子フルーレ個人で優勝。17~21年には日本フェンシング協会会長を務めた。

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