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男子マラソンの勝負どころを占う…激しい起伏を走り切る巧さが必要に[武井隆次の目]

読売新聞 / 2024年8月10日 14時14分

 パリオリンピックは10日、陸上の男子マラソンが日本時間午後3時にスタートする。パリ市庁舎をスタートして、中心部の観光名所を巡った後、郊外のベルサイユ宮殿を経て市街に戻るルートで行われ、中盤と終盤に急坂が待つ設定は、五輪史上最も過酷なコースと言われる。日本勢は小山直城(ホンダ)、赤崎暁(九電工)、大迫傑(ナイキ)の3人が出場。注目のレースを、早稲田大時代に箱根駅伝で活躍し、2002年アジア大会男子マラソン銅メダリストの武井隆次さんが展望する。

 今回のコースでは、中盤の15キロあたりから20キロ過ぎの最高点へと向かう区間と、28キロ過ぎに約1キロ続く区間の、2つの急坂が大きな特徴だ。全体で約150メートルの高低差があって、タイムが落ちるから日本人選手にも有利になるのではないかという見方もあるが、その論で言えば日本人よりもケニアやエチオピアの選手の方が高低差に慣れている。日本人だ、アフリカ人だというよりは、その選手が上り、下りが得意かそうではないかというところになるだろう。両方とも得意なのか、上りはこなせるけど下りは下手なのか、そこで戦略も変わってくると思う。

 ポイントとしては分かりやすい。2か所の急な上り下りのどこかで、スパートしようとする選手がいると思うが、勢いがつく下りの方がスパートしやすいので、普通に考えれば、後半の坂を上りきったところが勝負どころとなる。なぜ最初の坂ではないかというと、前半に下りがあって、そこで脚を使ってしまうと、後半にスタミナ切れとは別の意味でランナーの脚には疲労とダメージがたまるからだ。スタートから下っていって後半に急な上りが待ち受けるボストンマラソンが難しいのと一緒だ。後半の坂を越えてもゴールまでは10キロほどあるが、筋力的にも余力のある選手がそのまま勢いで行くと思う。

 2つ目の急坂は最大勾配13・5%というきつい上りで、箱根駅伝の山上りを思わせる。箱根の場合は急な坂がずっと続くが、パリのコースは同じ傾斜があっても「瞬間」で終わるので、箱根の5区、6区の走者に求められるような力は必要ないが、起伏の激しいコースを走り切るだけの (うま)さが必要になる。

たけい・りゅうじ 1971年生まれ。東京・国学院久我山高で高校初の5000メートル13分台をマーク。早大時代は箱根駅伝で4年連続区間賞、うち3度が区間新記録で、同期の花田勝彦さん、櫛部静二さんと並び「三羽がらす」と呼ばれた。卒業後はエスビー食品で2002年びわ湖毎日マラソンを2時間8分35秒で優勝。02年アジア大会男子マラソン銅メダル。引退後はエスビー食品のコーチ、監督を歴任。現在は「したまちアスリートクラブ」の監督として小、中学生を中心とした後進ランナーの指導にあたっている。

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