南海トラフに企業警戒、万一に備え24時間態勢や移動基地局準備も
読売新聞 / 2024年8月9日 19時43分
南海トラフ地震の臨時情報が発表されたことを受け、被害が想定される地域に工場や拠点を持つ企業は警戒感を強めている。現場の安全確認や、万一の事態に備えた準備作業に追われた。
京セラは、電子部品を手がける鹿児島県霧島市内の2工場が、8日夕の地震で被害を受けた。このうち国分工場では、勤務中の従業員3人が負傷し、一部の生産ラインを停止した。
旭化成は8日、宮崎県の工場で稼働を一時停止したが、既に再開済みだという。東芝は大分市の半導体工場で設備への被害を確認中だが、生産への影響は軽微だという。
九州に複数の工場を持つタイヤ大手ブリヂストンの東正浩COO(最高執行責任者)は9日、オンラインでの記者会見で、「供給網や販売拠点への対応は細かく決めており、それに準じて対応する」と述べた。
一方、「臨時情報がどんな意味を持つのか、つかみかねている。どう対応すればよいのか」(大手商社)と戸惑いの声も聞かれた。
東海地方に都市ガスを供給する東邦ガスは8日夜、グループ災害対策本部を設置し、社員約30人が24時間態勢で交代待機を始めた。愛知県や三重県の沿岸部に火力発電所を置く発電大手JERAは、LNG(液化天然ガス)を陸揚げ中に災害が起きた場合の対応を再確認した。
石油元売り大手エネオスホールディングス(HD)の田中聡一郎副社長CFO(最高財務責任者)は9日の記者会見で、「必要なエネルギー資材、素材の迅速な供給にグループ全体で取り組む」と述べた。
総務省は9日、携帯電話大手4社などに対し、地震発生時の通信確保や、設備の被害防止を要請した。
楽天モバイルは、被害が想定される地域に移動基地局と非常電源を送る計画だ。矢沢俊介社長は9日の決算記者会見で、「南海トラフを想定した準備はしてきている」と述べた。
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