新潟産大付 戦術ピタリ…球数稼ぎ徹底 初陣で強豪撃破

７回新潟産大付、多田が勝ち越しの適時打を放つ（投手・上原）＝後藤嘉信撮影

　第１０６回全国高校野球大会第３日の９日、１回戦３試合が行われた。春夏通じて初出場の新潟産大付（新潟）が花咲徳栄（埼玉）との接戦を制した。西日本短大付（福岡）は金足農（秋田）の反撃を振り切り、１４年ぶりに初戦を突破。２部制は最終日となり、午後５時開始の第３試合では、春夏４度出場の 菰野 （こもの）（三重）が南陽工（山口）を破り、甲子園初勝利を挙げた。

新潟産大付２―１花咲徳栄

　新潟産大付は六回、千野の適時二塁打で追いつくと、七回に多田の適時打で勝ち越した。宮田、田中の継投策も成功。花咲徳栄は終盤、無安打に終わり、好投の上原を援護できなかった。

　まるで優勝したかのように、新潟産大付のベンチから控え選手が飛び出してきた。ほぼ埋め尽くされた三塁側アルプス席もお祭り騒ぎ。初出場校の勢いが、全国制覇の経験もある強豪をのみこんだ。

　花咲徳栄の速球派右腕・上原の前に無得点が続いたが、球数が１００球に近づいた六回に７番千野の二塁打で同点。さらに七回二死三塁で４番多田が「狙っていた」直球をフルスイングすると、打球は三遊間を抜け決勝点をたたき出した。

　昨秋の県大会は初戦敗退、今春も１度しか勝てなかったチームは今夏、新潟大会で甲子園出場経験のある日本文理や中越を相手に「ジャイアントキリング」を起こした。相手投手の球数を稼ぎ、甘い球がきたところを狙う戦い方を徹底。６試合で３失策の堅実な守備も武器に、春夏通じて初の甲子園切符をつかんだ。

　組み合わせが決まった時、多田は「２０―０で負けるかも」と思った。それでも「自分たちは王者ではない。楽しむだけだ」と試合に臨み、好機で勝負強さを発揮。守備陣も無失策と、普段通りの野球に徹したことが大物食いにつながった。

　次は４強の経験もある京都国際（京都）と戦う。「良い投手もいるし打撃もすごいチーム」と多田。彼らにとっては願ってもない相手だ。（中安真人）

新潟産大付・吉野監督「夢の中にいるようだ。選手たちは本当に粘り強く戦ってくれた。普段の練習の成果が出た試合」

先制の花咲徳栄　遠かった追加点

　花咲徳栄が埼玉大会の全７試合同様、甲子園でも先手を取ったが、逆転負けを喫した。二回、先頭の４番石塚が左前打で出塁すると、すかさず二盗。次打者の浅い中飛でタッチアップして三塁へ進塁し、横山の犠飛でホームを踏んだ。しかし、その後は追加点が遠く、残り３打席は凡退に終わった石塚は「先制して自分たちのペースにしたかったが、相手が隙を見せてくれなかった。あっという間に試合が終わってしまった」とうつむいた。

花咲徳栄・岩井監督「上原は最後までよく投げてくれた。打線はうまく変化球を使われ、ちょっとずつタイミングがずれていた」