西日本短大付 しのいだ 金足農９回反撃のまれず完投

４失点で完投した西日本短大付の村上（９日）＝枡田直也撮影

　第１０６回全国高校野球大会第３日の９日、１回戦３試合が行われた。春夏通じて初出場の新潟産大付（新潟）が花咲徳栄（埼玉）との接戦を制した。西日本短大付（福岡）は金足農（秋田）の反撃を振り切り、１４年ぶりに初戦を突破。２部制は最終日となり、午後５時開始の第３試合では、春夏４度出場の 菰野 （こもの）（三重）が南陽工（山口）を破り、甲子園初勝利を挙げた。

西日本短大付６―４金足農

　西日本短大付は一回、井上蓮の適時打で先制。五回に村上の犠飛と斉藤の適時打、山下の２点打で４点を挙げて突き放した。金足農は九回、打線がつながり、２点差に詰め寄ったが、及ばなかった。

　西日本短大付のエース村上は、マウンドで笑っていた。６点リードの九回、３連打に味方の失策が絡むなどして４点を失い、なおも二死一、二塁のピンチ。金足農側の応援と手拍子が一層大きくなったが、動じなかった。「自分が応援されていると思い込もう」

　３球で追い込むと、キレのある変化球で勝負。二飛に仕留め、ガッツポーズを見せた。「九回は、村上を信じるのみと託した」という西村監督の期待に応えた村上は「のみ込まれないよう意識し、最後まで打たせて取る投球ができた」と 安堵 （あんど）の表情を浮かべた。

　前夜、「金農旋風」を巻き起こした２０１８年夏の決勝の動画を視聴。相手の応援から受ける重圧をイメージしていたことが、窮地で生きた。

　甲子園で１４年ぶりの白星を挙げたチームの目標は、１９９２年以来となる２度目の全国制覇だ。「（次は）最少失点に抑えられるよう頑張りたい」と村上。頂点へ駆け上がるには、エースの力が欠かせない。（古島弘章）

西日本短大付・西村監督「九回は甲子園で、すごい経験ができた。その中で逃げ切れたことはチームにとって大きい経験になった」

輝星の弟「戻ってくる」　制球苦しみ７回５失点

　金足農の２年生エース右腕・吉田は本来の投球とは、ほど遠い内容だった。緊張から制球が定まらず、一回に暴投でピンチを迎え、先制を許した。五回にも追加点を与え、７回５失点、５四球で降板。「最後までマウンドに立てず悔しい。ふがいない投球をしてしまった」と悔しがった。ＬＩＮＥで「頑張ってね」とメッセージを送り、スタンドで観戦した兄の輝星（オリックス）は２０１８年夏の準優勝メンバー。吉田は「改めて、兄はすごいと思った。甲子園にふさわしい投手になって、来年戻ってきます」と涙を拭った。

金足農・中泉監督「（九回は）選手たちが最後まで諦めず、よくつないでくれた。下級生も多いチーム。打力をつけて、来年、再来年と（甲子園に）戻ってこられるようにしたい」