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得意の片足へのタックル決められず作戦変更、熟練レスラーならではの決断…樋口黎「両足を取ろうと決めた」

読売新聞 / 2024年8月10日 13時22分

レスリング男子フリースタイル57キロ級で金メダルを獲得した樋口黎(9日、パリで)=関口寛人撮影

 パリ五輪のレスリングは9日、男女6階級が行われ、男子フリースタイル57キロ級決勝で、樋口 れい(ミキハウス)はスペンサーリチャード・リー(米)に4―2で逆転勝ちして金メダルを獲得した。

     ◇

 樋口が、金メダルをじっと見つめた。8年前は「悔しい」銀メダル。東京五輪は、出場さえかなわなかった。とうとう表彰台で君が代を聴き、「希望や感動、スポーツの力を伝えられたのならアスリートとして本懐」と達成感に浸った。

 決勝は、経験の違いを見せつける逆転勝ちだった。相手のリーは五輪初出場ながら、樋口は「肌を合わせてみて、すごく強い選手だと感じた」という。第1ピリオドは、得意にしている相手の片足を取りにいくタックルを決められず、2度、場外に押されて2失点。そこで作戦を変えられるのは、熟練のレスラーならではだった。片足へのタックルが防がれた場合は攻撃を切り替え、「両足を取ろうと決めた」。第2ピリオド、狙い通りに両足をつかんでからの接近戦で倒し、2得点。終了間際には、さらに2点を加え、日の丸を背負ってマットを1周した。

 銀メダルを手にしたリオデジャネイロ五輪の後は、より重い階級に上げたものの、結果が伴わなかった。再び57キロ級に戻して臨んだ東京五輪アジア予選は、計量の体重超過で失格に。減量苦を目の当たりにした湯元健一コーチは、「57キロ級は、もうやめた方がいいと言った。死ぬんじゃないかと思った」と振り返る。

 だが、樋口は、より自らを律し、磨き、さらに強くなって戻ってきた。「スタミナもパワーでも、テクニックでもメンタリティーでも、全てで勝つ意識をしてきた。紙一重で、自分の底力を出せた」。28歳の求道者が、最高の勲章を手にした。(平地一紀)

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