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無駄な力は使わない17歳の「脱力系クライマー」安楽宙斗、得意の数学から導き出した独自の登り方

読売新聞 / 2024年8月10日 14時0分

スポーツクライミング男子複合のリードで課題に挑む安楽宙斗選手(9日、パリ郊外で)=松本拓也撮影

 無駄な力を使わず、軽やかに壁を登る。スポーツクライミング男子複合の安楽 宙斗 そらと選手(17)は「脱力系クライマー」と呼ばれる。独自の登り方を突き詰めた高校3年生が、パリ五輪で男子初の銀メダルに輝いた。

 出会いは偶然だった。父の武志さん(42)がダイエットをしようと、千葉県の自宅近くのクライミングジムを訪れた。「1人では恥ずかしい」と、小学2年だった息子を連れて行った。

 いつも木登りをして「危ない」と叱られていた少年は、のめり込んだ。夏休みは毎日のように通った。腕力がない中、「どうやって登るか」に頭を巡らせた。

 何度も落ちながら、ホールド(突起物)にかける手や足の位置、体の使い方を試行錯誤。力感のない登り方が身についていった。

 与えられた課題をどういうルートで登るかを考えるうえで役立ったのが、得意教科の数学だった。「解法を考え、答えを導き出していくのは同じ」と語る。

 本気で取り組むきっかけは、進学校の県立八千代高1年で出場したユース日本選手権。同世代に予選で敗れ、成長期だからと控えていた筋力トレーニングを始めた。

 それまで懸垂は10回もできなかったが、少しずつ筋力をつけ、昨年のワールドカップで制限時間内に完登した課題数を争う「ボルダー」で初優勝。到達地点の高さを競う「リード」でも年間総合優勝を果たす。

 身長1メートル68、体重55キロほどの体で世界の猛者と渡り合う。「見かけの筋肉がなくても、戦える」と、磨き上げてきた独自の登り方に自信を持っている。

 「自分の登りで人に感動や希望を与えられるような選手になりたい」と夢を語る17歳。決勝ではボルダーでトップに立ったが、得意のリードで逆転された。

 「2位は悔しいけど、最低目標の3位以内に入れて良かった」。大勢の観客を沸かせても口調は淡々としていた。(蛭川裕太)

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