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「楽しいから踊る」…湯浅亜実らしさ貫き女子ブレイキン初代女王に、回転技「風車」で観客魅了

読売新聞 / 2024年8月10日 20時40分

ブレイキン女子決勝で演技する湯浅亜実(9日)=松本拓也撮影

 パリオリンピックは9日、新競技ブレイキン女子が行われ、湯浅亜実(ダンサー名AMI)が金メダルを獲得した。

 「楽しいから踊る」――。ブレイキン女子の初代女王になった湯浅亜実選手(25)(ダンサー名AMI)には、10歳から持ち続けている信念がある。勝利だけにとらわれるのではなく、自分らしさを貫いた先に金メダルがあった。

 背中を床につけながら、足を開いて回転する「ウィンドミル」。初めてレッスンを受けた10歳の時、英語で「風車」を意味する技に目を奪われた。「私もやってみたい」。講師だった石川勝之さん(43)に頼んだ。

 何度も挑戦し、次の週のレッスンまでに習得した。今でも「一番好きなパワームーブ(回転技)」。達成感と「楽しい」という気持ちが原点になった。

 習得が早く、目の色が違うと感じた石川さん。湯浅選手の母に「僕に預けてほしい」と頼んだ。以来、湯浅選手は埼玉の自宅から、石川さんが拠点とする武蔵溝ノ口駅(川崎市)周辺に通った。練習は深夜に及び、母が送迎をしてくれた。

 行けない時は、地元の駅の地下や公園の芝生で練習した。自宅の駐車場で音楽をかけながら、ダンボールを敷いて技の習得に励んだこともあった。

 大会に参加し、自分らしさを表現する大切さを学んだ。「勝つためじゃない。楽しいから踊るんだ」と気付いた。19歳で世界最高峰の大会を制した。

 五輪競技への正式採用が決まったのは2020年。「引っ張ってくれる人を信用できたから、挑戦してみようと思えた」。競技連盟のブレイクダンス本部長は、「師匠」の石川さんだった。

 重圧を感じて眠れぬ夜もあった。勝利を求められることに抵抗を感じ、選考レースを辞退しようとも考えた。思い出したのは、「楽しむ」という初心だった。

 代表の座をつかむと、ブレイキンを知らない人からも祝福された。「日本代表になるって、こういうことなんだな」と思った。

 表彰台の真ん中で金メダルをかけられ、優勝を実感した。「全部出しきれたし、楽しめた。ブレイキンの素晴らしさを伝えられたんじゃないかな」。笑顔がはじけた。(上田惇史)

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