レスリング「金」桜井つぐみ、バスなどで高知から群馬へ往復1700kの出稽古…国体選手だった父の夢実現
読売新聞 / 2024年8月10日 21時12分
パリオリンピックのレスリング女子57キロ級は9日、決勝が行われ、桜井つぐみ(育英大助手)がモルドバのアナスタシア・ニキタを6―0で破り、優勝。今大会のレスリング日本勢として5個目の金メダルを獲得した。
金メダリストのレスリング人生のターニングポイントは、高校時代だった。指導者だった父との関係に悩んだ女子57キロ級の桜井つぐみ選手(22)。夜行バスと電車に乗り、高知から群馬に往復1700キロの出稽古を重ねて飛躍を遂げた。(上田惇史)
優勝すると観客席に歩み寄り、父の優史さん(48)、恩師の柳川
3歳の頃、国体選手だった父がクラブを設立し、レスリング漬けの生活が始まる。妹と練習した自宅の和室の畳は、すぐボロボロになった。中学では3年連続で日本一。「五輪に出場できる」。そう信じていた。
雌伏の時は、父がレスリング部の監督を務める高知南高(当時)に進学してから訪れる。けがもあって結果が出なくなった。父は他の部員の目を意識し、娘により厳しく接した。
学校に行き来する車内や校内、そして自宅。練習や生活態度について指導されるたび、「いちいちうるさい」と思うようになった。「反抗期ですね。ありがたみがわからなかった」
高校2年の時に頼ったのが、父の友人で育英大(群馬県高崎市)レスリング部監督の柳川さんだった。年上の選手と肌を合わせ、帰り際には、宿題として課題だったタックルなどの反復メニューを渡された。
その年に新設されたばかりの大学で、道場はなく、ピアノが置かれた部屋に敷いたマットの上で汗を流した。「言われてやるのではなく、自分で考えて練習するのが楽しかった」
毎週金曜、夜行バスで高知から東京に行き、電車で高崎へと向かう。月曜の朝に戻って学校に通った。群馬で過ごした年間100日は、父子関係を修復する時間にもなった。
育英大に進学すると、柳川監督に鍛えられ、2021~23年は世界選手権で3連覇した。父は「本当に頑張った。厳しく指導したが、葛藤もあった」と振り返る。
武器の相手を崩す「組み手」は、幼い頃に父の指導で身につけた。「絶対に妥協するな」という教えを守り、厳しい練習をやり抜いてきたから、粘り強さが備わった。決勝では相手に1点も許さず、完勝した。
五輪の金メダルは父の夢でもあった。娘は言った。「メダルを見せたら、すごく喜んでくれた。今までたくさん指導し、支えてくれて本当にありがとうと言いたい」
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