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下請法見直し 不合理な商慣行を改める時だ

読売新聞 / 2024年8月11日 5時0分

 不合理な商慣行によって、中小企業に負担が押しつけられている状況は放置できない。政府は、下請法を見直し、長年の慣行を是正すべきだ。

 公正取引委員会と中小企業庁は、下請法の改正を検討する有識者会議の初会合を開いた。年内にも改正案をまとめるという。

 日本企業の取引では、数多くの下請け業者が、何段階にも重なってピラミッド構造をなしている。中小企業は交渉力が弱く、コストの増加分を取引価格へ十分に転嫁できないと指摘されてきた。

 この弊害が表面化したのがコロナ禍だった。中小企業の経営が悪化した上、ロシアのウクライナ侵略で原材料費やエネルギー価格が高騰し、問題は深刻化した。

 経済の実態を踏まえ、法規制のあり方を絶えず見直していくのは当然で、必要なことだ。

 まずは下請け業者に対する買いたたきを解消していきたい。

 公取委は、大企業側が交渉に応じずに取引価格を据え置いた場合、下請法が禁じる買いたたきにあたるとの見解を示している。

 だが、実際には、大企業側が事前交渉に応じないケースだけではなく、応じても、形式的なやりとりにとどめる例がある。下請法を改正し、事前の価格交渉が不十分な場合は、大企業に是正を勧告できるようにしてもらいたい。

 最近問題になった自動車産業のケースのように、大企業が下請け業者に、金型を無償で保管させる慣行も看過できない。

 現行規定では、大企業が所有権を持つ金型を取引先の企業に無償で保管させた場合に限り、下請法違反と認められている。公取委は昨年以降、トヨタ自動車の子会社など5社を違反と認定した。

 逆に下請け業者に所有権を持たせる形にして、金型の保管費用を負わせ、それを廃棄するかどうかの判断は大企業の都合次第、というケースもあるという。

 所有権の有無にかかわらず、実質的に大企業側が管理している金型を下請け業者に無償で保管させた場合も、法令違反になることを明確にする必要がある。

 物流業界への対応も焦点になる。現在、荷主と運送事業者の取引は、下請法の対象外となっているが、法改正を行い、下請法の適用対象に加える方向だ。

 運送事業者は、中小や零細が多い。輸送料金の値上げが実現すれば、ドライバーの賃上げが期待できよう。トラック運転手の不足など、「物流の2024年問題」の改善にもつなげてほしい。

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