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「もっと遠くに投げられる」と腕を振った北口榛花、やり投げ「金」…トレードマークの笑顔はうれし泣きに

読売新聞 / 2024年8月11日 21時43分

陸上女子やり投げで金メダルを獲得し、日の丸を掲げて喜ぶ北口榛花(10日、サンドニで)=三浦邦彦撮影

 パリオリンピックの陸上は10日、女子やり投げ決勝が行われ、北口 榛花 (はるか)選手(26)が65メートル80を投げ、金メダルを獲得した。

 日本陸上界に金字塔を打ち立てた。北口選手は、飽くなき向上心で栄冠を手にした。「うれしいじゃ足りない、言葉にできない気持ち」。トレードマークの笑顔は、うれし泣きへと変わり、また笑った。(高木文一)

 決勝1投目。約600グラムのやりがどこまでも宙を舞った。65メートル80でトップに立っても満足していなかった。パリに来てから、70メートルを投げる夢を毎日見ていたから。「もっと遠くに投げられる」との一心で腕を振った。

 待ち時間には、カステラをほおばった。過去に好記録を残してから続ける験担ぎだ。

 記録は伸ばせなかったが、最後の6投目を前に金メダルが確定。表情を変えずに投げ終えると、感情があふれ出た。喜びを爆発させ、涙で顔をくしゃくしゃにした。コーチと抱き合った後、笑顔で日の丸を広げてスタジアムを歩いた。

 高校入学まで陸上競技に関心がなく、3歳から続けてきた水泳で日本一を目指すはずだった。地元の北海道旭川東高に進学すると、陸上部から熱心に勧誘された。顧問だった松橋昌巳さん(69)は「体格に恵まれ、水泳で培った肩の可動域の広さに可能性を感じた」と振り返る。

 水泳との両立を条件にやり投げを始めた。2か月後の北海道大会で優勝。水泳より上を狙えると思い、専念した。3年時には、世界ユース選手権で優勝するなど大きく飛躍を遂げた。

 陸上部マネジャーだった森菜々穂さん(28)は「天真らんまんだが、練習になると誰よりもストイックで集中していた」と明かす。

 貪欲に学んできた。2019年から単身、競技が盛んなチェコに渡り、練習拠点にしてきた。身長が1メートル79あり、「背が高いので、日本人選手のまねは考えていなかった」。チェコ語を覚えて現地のコーチから助走の重要性を教わった。

 東京五輪は12位。技術習得を目指し、水泳からもヒントを得た。バタフライの動きがやり投げに生かせると思い、競泳の五輪メダリスト松田丈志さん(40)から体を動かすコツを学んだ。

 去年の世界選手権で優勝したものの、今季は調子が上がらず不安だったという。松橋さんは、北海道深川市の自宅でテレビ観戦し、「どんな言葉で称賛すればいいのか、言葉すら見つからない」と教え子の成長に目を見張った。

 目標の70メートル台には届かなかった。「悔しさも残る金メダル。また頑張る理由ができて、すごくホッとした」

 思い描く放物線に向けて、歩みを続ける。

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