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「死ぬ気でやった人の限界突破の姿」…近代五種「銀」佐藤大宗、ゴール後に倒れこむ

読売新聞 / 2024年8月11日 23時34分

 パリオリンピック近代五種は10日に行われた男子決勝で、佐藤大宗(自衛隊)が銀メダルに輝いた。準決勝の全体2位で18選手による決勝へ進み、1542点を挙げた。この競技で日本勢のメダル獲得は男女を通じて初めて。エジプトのアハメド・ゲンディが1555点で優勝した。

 馬術、フェンシング、水泳の3種目をこなして締めくくりはランニングと射撃を合わせた「レーザーラン」。佐藤が終盤、帽子を投げ捨てた。「邪魔だと思って」。表彰台へと最後の力を振り絞るため、30歳のアスリートはスイッチを入れた。

 1912年ストックホルム五輪から実施されている近代五種で、日本は男子初参加の60年ローマ五輪以降、メダルから遠い位置にいた。水泳や陸上はともかく、国内でフェンシングや馬術、射撃の練習を積める環境が整っていないことが大きかった。高校卒業後に近代五種を始めた佐藤は、浅い競技歴と 脆弱 ぜいじゃくな練習環境をカバーしようと他競技の関係者に協力を求めた。

 フェンシングは東京五輪の男子エペ団体優勝メンバーと練習し、今大会はフェンシング・ランキングラウンドで6位と好発進。馬術は牧場関係者の助言を受け、今大会の決勝は抽選で決まる乗り馬の疲弊を見極めて、軽めの調整にとどめた。成果は「減点なし」の形で表れた。

 戦いの大詰めで疾走する佐藤の頭に浮かんだのは、認知症で入院生活を送る父の「死ぬ気で戦ってこい」の言葉だったか。ゴールすると、倒れ込んだ。「あまりいい光景ではないけど、死ぬ気でやった人の限界突破の姿」と言った。

 表彰台に上がった佐藤は体を震わせ、目を閉じた。「支えてくれた人の顔が一瞬で思い浮かんだ。こんな最高な日は人生で一度きりじゃないかな」。涙顔が夕日に照らされていた。(大舘司)

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