鶴岡東エース 強心臓 投手戦楽しむ

９安打１失点で完投した鶴岡東の桜井

　第１０６回全国高校野球大会第５日の１１日、１回戦４試合が行われた。３２年ぶりに出場した大社（島根）が２年連続選抜準優勝の報徳学園（兵庫）を破り、夏の甲子園で６３年ぶりとなる白星をつかんだ。早稲田実（西東京）は鳴門渦潮（徳島）を終盤に突き放して４強入りした２０１５年以来の２回戦進出。鶴岡東（山形）は聖光学院（福島）との接戦を制し、創成館（長崎）は、村田が白樺学園（北北海道）を完封した。

鶴岡東２―１聖光学院

　鶴岡東が逃げ切った。三回、先発・桜井の２点打で先制。桜井はリードを守りきり、１失点で完投した。相手を上回る９安打を放った聖光学院は、九回の好機をものにできなかった。

１１６球での１失点完投に捕手・億田「低めに直球が決まった」

　九回、一死一、二塁のピンチでリードは１点だけ。それでも鶴岡東のエース左腕・桜井は冷静だった。「地方大会でもピンチはたくさんあった」。後続を外角の変化球で遊ゴロ併殺に仕留め、仲間と笑顔でハイタッチをかわした。

　一、二回はともに三塁まで走者を進められながら、落差の大きいスライダーで難なく切り抜けた。三回の攻撃では自ら先制の左前２点打を放ち、「ここから集中」とギアを一段上げた。

　緩急を織り交ぜ、その裏から五回までは三者凡退。八回に内野ゴロの間に１点を失ったものの、１１６球での１失点完投に捕手の億田は「低めに直球が決まった」と安定した投球の背景を語った。

　山形大会でも、甲子園出場経験のある山形中央や日大山形を相手に、１点差試合を１人で投げ抜いてきた。桜井は「楽しんで投げられた。甲子園で自分の力を出せてよかった」。自分を信じて迷いがないから、マウンドさばきに落ち着きがあふれている。（滝口憲洋）

鶴岡東・佐藤監督「（桜井は）投げて打って頑張ってくれた。今日は彼で終わるしかないかなと（完投させた）」

聖光学院　失策に涙

　１１三振を奪って８回２失点と好投した聖光学院の高野は試合後、涙が止まらなかった。悔やんだのは三回の失策。無死一塁で送りバントを捕球したが、手につかずに落としてしまい、ピンチが拡大。二死二、三塁から４番打者に先制２点打を打たれた。その後は立ち直って２安打に抑えただけに、「自分のミスで点を取られてしまったことが一番悔しい」と初戦敗退に肩を落としていた。

聖光学院・斎藤監督「（一死二塁となった）六回に１点ほしかったというのが正直なところ」