強打の早実 光る対応力

７回早稲田実、山中が適時打を放つ（捕手・藤原）

　第１０６回全国高校野球大会第５日の１１日、１回戦４試合が行われた。３２年ぶりに出場した大社（島根）が２年連続選抜準優勝の報徳学園（兵庫）を破り、夏の甲子園で６３年ぶりとなる白星をつかんだ。早稲田実（西東京）は鳴門渦潮（徳島）を終盤に突き放して４強入りした２０１５年以来の２回戦進出。鶴岡東（山形）は聖光学院（福島）との接戦を制し、創成館（長崎）は、村田が白樺学園（北北海道）を完封した。

早稲田実８―４鳴門渦潮

　早稲田実は２点を追う二回、宇野の３点二塁打で逆転。六～九回にも加点し、中村、川上の継投で反撃を断った。５安打の鳴門渦潮は４点を挙げたが、得点した直後の二、七、八回の失点が響いた。

大正から４元号勝利

　強打を誇る早稲田実打線の対応力と冷静さが光った。

　１点差に詰め寄られた直後の七回、高崎、石原の連打などで二死一、三塁と攻める。山中が変化球を左前へ運んで三塁走者を迎え入れると、続く国光も適時打を放ち、リードを広げた。

　六回まで無安打だった高崎は「タイミングを早めに」修正して捉える。石原は前の打席で軌道が頭に残っていた変化球をはじき返した。山中は「高めだったので反応した」と、和泉監督が「やっかいだ」とみていた低めの変化球を見極め、練習から意識している低く強い打球を飛ばした。

　打線を勢いづけたのは主将の宇野だ。木製バットを使う２番打者は二回二死満塁で走者一掃の二塁打を放ち、逆転に成功した。西東京大会６試合で５８得点した打線は１３安打を記録。３安打３打点の宇野は「粘り強くセンター返しを心がけ、つながった」と胸を張った。

　甲子園が開場した１９２４年の大会にも出場した早稲田実。初戦を白星で飾り、夏は大正、昭和、平成、令和と４元号での勝利を達成した。「偉大な先輩方が残した功績。その伝統を引き継いでいく」と宇野。清宮幸太郎（日本ハム）を擁して４強入りした前回出場以来９年ぶりに、名門校が夏の聖地を沸かせた。（豊嶋茉莉）

早稲田実・和泉監督「中村は立ち上がりが非常に悪かったが、宇野が（二回に３点二塁打を）打ってくれて落ち着けたと思う。アルプス席の声援はうちの一つの戦力」

現校名「１勝」鳴門渦潮逃す

　鳴門渦潮は、再編統合（鳴門工と鳴門第一）後初の甲子園勝利はならなかった。一回、４番岡田、５番福山の連続適時打で２点を先制したが、打線は二回以降、３安打に抑え込まれた。福山は徳島大会で４割超の打率を記録したが、この日は残り３打席で快音を響かせることはできなかった。それでも、「最高の舞台で、いい勝負ができた。悔いはない」と言い切った。

鳴門渦潮・森監督「（４番でエースの）岡田は投打の中心。球数が増えようが、最後までマウンドに立ってもらうつもりだった」