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心停止の救命 AEDが使える人を増やそう

読売新聞 / 2024年8月12日 5時0分

 駅や空港などで目にする機会は増えたが、使い方を知らないという人は多いだろう。AED(自動体外式除細動器)の普及を進め、一人でも多くの命を救える社会にしたい。

 AEDは、胸に電気ショックを与えることで、心臓を正常に戻すための医療機器だ。

 心臓が突然止まって倒れた人がいても、居合わせた誰かが素早く心肺蘇生を行えば、救命の可能性が高まる。AEDの活用が救命につながった例も多い。

 かつてAEDの使用は医師に限定されていた。だが、救急車が到着する前の早い段階で使ったほうが救命率の向上が期待できるため、2004年に一般市民にも使用が解禁された。現在、全国に推計69万台が設置されている。

 もっとも、市民による使用が広がっているとはいえない。

 22年に心停止の状態で救急搬送された人は2万9000人いたが、そのうち市民がAEDを使ったケースは4%にすぎない。人の生死にかかわることへのためらいや、なじみのない機器の使用に対する不安があるのだろう。

 しかし、実は操作は簡単で、電源を入れると機械が必要な動作を指示する仕組みになっている。

 あらかじめAEDがどのような機器なのかを知り、実際に使える人を育てていくことが重要だ。

 近年は、中学と高校の学習指導要領に、AEDなど心肺蘇生法についての教育が盛り込まれ、実際に学校で使い方の講習が行われるようになっている。

 学校で講習を受けたばかりの中学生が、クラブ活動中に指導者が倒れた際、いち早くAEDを使って救ったケースもある。

 若い頃から触れていれば、いざという時に 躊躇 ちゅうちょせずに活用できる人が増えるだろう。学校現場での講習を拡充していきたい。

 企業が操作方法に精通した従業員を養成し、社内外の人に教える機会を設けている場合もある。

 突然の心停止は、心臓に持病がある人だけに起きるわけではない。健康な人が激しい運動をした時にも注意する必要がある。

 スポーツ大会などの主催者は、緊急事態が発生してから慌てないように、119番通報やAEDの使用などの手順をあらかじめ決めておくことが大切だ。

 全国でAEDの設置台数は増えているが、多くは屋内に設置されている。夜間や休日でも使えるようにするには、24時間営業の店舗や、屋外への設置を増やしていくことも検討課題だろう。

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