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南海トラフの偽情報拡散、「不安になって」根拠ないままの投稿相次ぐ

読売新聞 / 2024年8月12日 10時0分

 南海トラフ地震の「臨時情報(巨大地震注意)」が発表されたことに伴い、SNS上で偽・誤情報が拡散している。今回は「地震発生の可能性が平時より相対的に高まっている」と気象庁が公表した初めてのケースで、不安感を背景に、科学的根拠がないのに地震を「予知」する投稿も目立つ。政府は注意を呼びかけている。(社会部 鈴木貴暁、大重真弓)

検索急増

 <地震雲かな?>

 9日、X(旧ツイッター)で、水平方向に広がった巨大な雲の画像が、こうした言葉とともに投稿された。発信した愛知県内の女性会社員(39)は読売新聞の取材に、「見たことがない形だったので不安になって撮影し、投稿した。それを見て怖がってしまう人たちのことは考えていなかった。申し訳ない」と振り返った。

 地震雲は、地震の前兆と言われることが多いが、科学的な根拠はない。そんな中、臨時情報が発表された8日以降、SNS上で<#地震雲>とハッシュタグをつけ、雲の画像が投稿されるケースが相次いでいる。

 グーグル検索の動向を示す「グーグルトレンド」によると、「地震雲」の検索は8日から急増。8~10日に検索された比率が最も高かった地域は三重県で、その後に大分県、宮崎県と続き、南海トラフ地震の想定震源域に住む人たちの関心が高いことがうかがえた。

 ほかにもXでは、<8月10日に巨大地震が来ます><8月11日は、南海トラフ地震の予定日><8月14日に南海トラフはおこります>などと、日にちを特定して地震発生を予測する投稿も広がる。これらの投稿の中には、11日までの閲覧回数が200万回を超えるものもあった。

古くからの定番

 地震の発生後、根拠なく日時や場所を特定し、地震の再来を予知するデマは古くからあった。

 兵庫県立大学の木村玲欧教授(防災教育学)によると、1923年に関東大震災が発生した直後、「今夜7時に大揺り返しがあるから注意せよと警視庁から通知が来た」とするデマが流れたほか、78年の伊豆大島近海地震後には「今から3時間以内にマグニチュード6の地震が確実にある」といったデマが広がった。

 2016年の熊本地震の発生後にも「佐賀に震度7の地震が来るかもしれないという予報が出ている」などといった情報が出回ったという。

 木村教授は「『地震が再来する』という予言は地震発生時のデマの定番だ」と指摘した上で、「臨時情報が出されている状況下では信じてしまう人が多くなる可能性がある。冷静に受け止め、拡散には加担しないでほしい」と話している。

正確な情報

 政府も偽・誤情報の広がりに警戒を強めている。

 総務省は9日、LINEヤフー、X、メタ、グーグルのプラットフォーム事業者4社に対し、偽・誤情報について、利用規約を踏まえて適正な対応を実施するよう要請した。

 気象庁は、8日に日向灘で起きた地震をきっかけに臨時情報を発表した。翌日から毎日、同庁ホームページで、地殻変動の様子などを説明する「関連解説情報」を公表している。

 この震源域でその後に起きた震度1以上の地震の回数や、高知・愛媛県にある3か所の「ひずみ観測点」の状況などを詳しく説明している。

 林官房長官は9日の記者会見で、「政府として正確な情報の発信を続ける。不確かな情報に惑わされることなく、お互いに助け合って行動をしていただきたい」と訴えた。

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