ロシア西部への越境攻撃、狙いは「露国内を不安定化させること」…ウクライナ政府高官

露クルスク州で、ウクライナのミサイルの破片で壊れたとされるアパート＝地元首長が１１日に投稿したテレグラムから、ロイター

　ウクライナ軍がロシア西部クルスク州で行っている越境攻撃について、ＡＦＰ通信は１１日、ウクライナ政府高官が「ロシアが国境を守れないと示し、露国内を不安定化させることが狙いだ」と述べたと報じた。数千人規模の兵士が投入されているとしている。

　ウクライナ軍が６日始めた越境攻撃について、露軍のワレリー・ゲラシモフ参謀総長は約１０００人のウクライナ軍の進軍を阻止したと主張していたが、この高官は、人数がさらに多いと指摘した。

　一方、露国防省は１１日、ウクライナ国境から北に約３０キロ・メートルの村トルピノ周辺で、ウクライナ軍の装甲車部隊と戦闘になり、進軍を食い止めたと発表した。ウクライナ軍が国境地帯から州内に進軍していることを事実上認めた。露軍事ブロガーなどによると、ウクライナ軍は国境から約１０キロ・メートルの町スジャに到達後、北や北西に部隊を進めている。

　露政府はクルスク州などで治安部隊などによる「対テロ作戦」を行い、ウクライナ軍に対抗する構えを見せているが、後手に回っている感は否めず、不信を募らせる住民もいるようだ。

　露有力紙コメルサントによると、州都クルスクからスジャに向かう高速道路はウクライナ軍の無人機が飛び交い、通行できない状況だ。スジャからクルスクに避難している女性は「我々は何も知らされていない。政府は一体どこにいるのか」と怒りをあらわにしたという。