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「キニシナイ」「欧州コンプレックス」払拭…躍進のフェンシング、外国人コーチがけん引

読売新聞 / 2024年8月13日 5時0分

フェンシング男子フルーレ団体決勝後、選手たちをねぎらうルペシューコーチ(右)(4日)=松本拓也撮影

東京~パリ 3年後の決算<上>

 パリ五輪日本選手団は、国外開催の夏季五輪で史上最多となる20個の金メダルを獲得した。東京大会から3年を経て競技力向上、世代交代を進めてきた各競技の収穫と課題を検証する。

 「想像を大きく超える夢のような結果だ」。4日夜、フェンシング全日程を終えた日本の青木雄介監督が躍進を総括した。1952年ヘルシンキ大会に初参加してから計3個だったメダルを一挙に5個も獲得。旋風の背景に外国人コーチによる「世界水準」の指導と環境作りがある。

 この日、イタリアを破り、金メダルを獲得した男子フルーレ団体。歓喜の中心に、2022年1月に就任したフランス人コーチのエルワン・ルペシュー氏がいた。東京大会団体準決勝で日本を下し、フランス代表を金メダルに導いた「超大物」。現役引退する意向を知った日本協会は大会後、すぐにコーチ就任を要請した。

 五輪で敗れた相手にこそ学ぶことがあるはずと、協会幹部は考えた。本場欧州の技術や練習法の伝授に加え、期待されたのは選手の意識改革。ルペシュー氏が繰り返した「キニシナイ(気にしない)」などの前向きな言葉は、ミスを恐れがちだった選手たちの考えを根本から変えた。男子フルーレの松山恭助(JTB)は「ルペシューは勝利のメンタリティーを持っている人。『必ず結果は出る』と信じさせてくれた」と話す。

 09年からエペを担当するウクライナ人コーチのオレクサンドル・ゴルバチュク氏は、欧州の人脈を駆使し、フランス、イタリア、ポーランドなどで数多くの合宿を展開。欧州勢とスパーリングする機会は格段に増え、「長い年月をかけて欧州コンプレックスを解消する環境作りが進んだ」(青木監督)。それが東京大会の団体金、今大会の団体銀の礎となる自信を植え付けた。

 08年北京大会で日本人初のメダリストになった太田雄貴さんは「複数メダルを取れる基幹種目になるにはここからが重要。柔道やレスリングのように、常に金メダルを狙えるような状態を全種目で作っていけたら」と語る。

バド混合ダブルスはマレーシアのコーチ

 今大会で過去最多タイのメダル2個を獲得したバドミントンも競技が盛んな国からコーチを招いている。

 日本で強化の歴史が浅い混合ダブルスは、18年からマレーシア人コーチのジェレミー・ガン氏が指導。東京大会に続いて銅メダルを獲得した渡辺勇大、東野有紗組(BIPROGY)を支えた。関係者は「日本になかった混合ダブルスの育成システム作りが進んでいる。次の『ワタガシ』を作れるか」と期待する。

 女子ダブルスで銅メダルに輝いた松山奈未、志田千陽組(再春館製薬所)も、中国出身で06年から専任コーチを務める中島慶氏の指導で飛躍。12年ロンドン大会銀の藤井瑞希、垣岩令佳組、16年リオデジャネイロ大会金の高橋礼華、松友美佐紀組に続く日本の新たな得意種目は国際色豊かな指導者によって脈々と受け継がれている。

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