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トランプ氏銃撃の動機は依然不明…ケネディ大統領暗殺事件を調べていた容疑者、要人への銃撃に関心か

読売新聞 / 2024年8月13日 7時10分

暗殺未遂から1か月

 米共和党のトランプ前大統領の暗殺未遂事件から13日で1か月となる。射殺されたトーマス・マシュー・クルックス容疑者(20)が地域で孤立していた状況が関係者の証言で明らかになりつつある一方、動機の解明は進んでいない。ミスを重ねた大統領警護隊(シークレットサービス)の信頼は大きく傷ついた。(米ペンシルベニア州ベセルパーク 金子靖志)

「近所と交流なし」

 記者が11日、ベセルパークにあるクルックス容疑者の自宅を訪れると、窓はカーテンで閉ざされていた。事件直後に張られていた規制線や警察の姿はなく、平時に戻っていた。周辺住民は事件後、家族の姿を一切見ていないという。

 隣に住む80歳代の女性によると、一家は約30年前に引っ越してきたといい、容疑者を含め「家族は近所との交流がなく、孤立していた」と語った。同級生らによると、容疑者は高校時代にいじめられ、地元の短大卒業後もほとんど誰とも会わず孤独だったという。

 米連邦捜査局(FBI)による捜査で、容疑者が犯行前に会場を下見し、当日に50発の弾薬を購入するなど計画的な犯行が明らかになっている。なぜトランプ氏を狙ったのか依然不明だが、1年ほど前から地元の射撃クラブに所属し、犯行当日は銃や爆発物を扱うことで人気のユーチューブチャンネルのロゴの入ったTシャツを着ていた。捜査当局は要人に対する銃撃に関心があったとみている。

 容疑者はネットで1963年のジョン・F・ケネディ大統領暗殺事件を調べていた。トランプ氏やバイデン大統領の集会日程を検索し、両氏の画像を携帯電話に保存していた。捜査関係者は、集会場所の近さから、容疑者にとって「最も手軽な犯行の機会になった可能性がある」との見方を示している。

発砲30秒前

 警護を巡っては、発砲直前までミスを防ぐチャンスが何度もあったことがシークレットサービス幹部らの証言で明らかになった。

 「ロングガン(長い銃)だ!」。発砲の約30秒前、地元警察が屋根の上で銃を手にする容疑者の姿に気づき、シークレットサービスに報告しようと無線で連絡したが、地元警察とシークレットサービスが異なる無線システムを使用して通信がうまくいかず、情報が伝わらなかった。7月末に米議会で証言したシークレットサービス幹部らが明らかにした。現場での情報共有の改善は課題となっている。

対象外

 容疑者はトランプ氏登壇の約2時間前に偵察用とみられるドローンを11分間飛ばしていたが、当局は、米国の大規模イベントで使用されているドローンの侵入を感知するシステムを活用していなかった。さらに、地元当局が監視用ドローンを飛ばすべきだと提案したが、シークレットサービス側はこれを断り、容疑者が銃撃に使った倉庫を最重要警備区域から外していた。

 重なるミスについて、シークレットサービスのロナルド・ロウ長官代行は7月30日の米議会で「防げた犯行だった。なぜこのような判断になったのか分からない」と証言し、「もう二度とこのような過ちは犯さない」と再発防止を誓った。事件を受けて、シークレットサービス長官は7月下旬に引責辞任している。

◆トランプ前大統領の暗殺未遂事件=米ペンシルベニア州バトラーで7月13日に開かれたトランプ氏の選挙集会で、同州在住のクルックス容疑者が約140メートル離れた建物の屋上から銃撃し、演説中だったトランプ氏の右耳上部を銃弾が貫通した。聴衆1人が死亡、2人が重傷となった。容疑者はその場で射殺された。

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