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「ふるさと納税しないでとは言えない」流出額100億円、さいたま市ぼやく…返礼品拡充「愚直な策だが増やすしか」

読売新聞 / 2024年8月14日 18時5分

 総務省が公表した2023年度のふるさと納税の実績で、埼玉県と埼玉県内63市町村への寄付総額は前年度比15億1600万円増の88億1400万円、住民が他自治体に寄付したことによる住民税控除額(流出額)は54億7400万円増の445億4300万円で、大幅な「赤字」だった。各自治体は、高額寄付を促す返礼品に力を入れたり、PRに工夫を凝らしたりして寄付の呼び込みに躍起となっている。

さいたま市100億円流出

 住民税の減収は、都市部を中心に深刻な状況が続いている。ふるさと納税を利用し、住民税の控除を受けた埼玉県民は、前年度比13%増の62万5845人だった。

 埼玉県内で最も市町村民税の控除額(流出額)が多かったさいたま市は、全国でも6番目に多い100億6800万円だった。

 国は、各自治体に減収分の75%を地方交付税で 補填 ほてんする措置をとっているが、同市では寄付の受け入れ額を差し引いても税収が約19億円目減りする。市財政課は「『ふるさと納税をしないで』とは言えない。愚直な策だが、返礼品を増やしていくしかない」とぼやく。

 17年度から返礼品の贈呈をやめていた所沢市は、今年11月をめどに贈呈を再開する。「過度な自治体間競争から離脱する」として返礼品を取りやめたが、住民税の流出額は増加する一方で、昨年度は13億5500万円に上った。

 市は埼玉西武ライオンズなどと協力した体験型の返礼品などを検討しており、税収減を食い止めようと方針転換を急いでいる。

高額寄付に照準奏功

 一方、ふるさと納税の受け入れ額自体は、5年連続で過去最多を更新している。

 前年度から5・5倍の3億9700万円に大きく伸ばした埼玉県上尾市は、高額寄付への返礼品を拡充したのが功を奏した。

 目玉は市内に本社があるブリヂストンサイクルの電動アシスト自転車で、昨年度に3種類から15種類に拡充した。同社の電動アシスト自転車を返礼品に指定した寄付額は、前年度の約7倍に膨らんだ。

 4年連続で埼玉県内トップとなった北本市は、市内に工房があるスーツ専門店「銀座英国屋」のオーダースーツ仕立て補助券が好評で、受け入れ総額(11億9500万円)の9割を占めた。

 東松山市は、返礼品のイチゴに、県オリジナルのブランド品種「あまりん」が含まれていることを明記した。イチゴを返礼品に指定した寄付額は前年度の約39倍の3800万円となり、市政策推進課は「県全体で取り組んでいるイチゴのPR効果が後押しとなった」と歓迎した。

 生活に直結する食品や日用品などの人気は根強い。牛丼やギョーザの冷凍食品(加須市)、プロテイン(川越市)、トイレットペーパー(草加市)など、地元工場で生産しているものを取りそろえた自治体が県内トップ10に入った。

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