ウクライナ、ロシア西部を「１０００平方ｋｍ制圧」…ゼレンスキー氏が越境攻撃「戦果」を初めて発表

　ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は１２日のビデオ演説で、ウクライナ軍がロシア西部クルスク州で続けている越境攻撃に関し、オレクサンドル・シルスキー軍総司令官から「約１０００平方キロ・メートルを制圧した」との報告を受けたことを明らかにした。ウクライナが越境攻撃の「戦果」を発表するのは初めてだ。

　ゼレンスキー氏は、制圧した地域からロシア軍によるウクライナ北東部スムイ州への砲撃が行われていたと指摘し「我々の作戦は純粋にウクライナを守るためのものだ」と強調した。

　クルスク州では住民が避難する動きが拡大している。露大統領府の発表によると、１２日にロシアのプーチン大統領が開いた越境攻撃への対応を協議する会議で、クルスク州のアレクセイ・スミルノフ知事代行は、州内の住民約１２万人が避難し、約６万人が避難準備を進めていると報告した。

　クルスク州に隣接するベルゴロド州のビャチェスラフ・グラトコフ知事は、国境地域でウクライナ軍による砲撃や無人機による攻撃が相次いでおり、１２日だけで国境付近の住民約１万人が避難したと説明した。

　プーチン氏は１２日の会議で、クルスク州でウクライナ軍に大きな損害を与えていると主張した。「我々の目標は全て達成される」とも語り、ウクライナ侵略への影響はないとの見方を強調した。

　国連難民高等弁務官事務所（ＵＮＨＣＲ）によると、ロシアの侵略でウクライナから約６５７万人が国外退避を強いられている。