トランプ氏とマスク氏がＸで対談、蜜月ぶりアピール…気候変動を巡っては立場の違い鮮明

トランプ氏（左）とマスク氏＝ＡＰ

　トランプ前米大統領と米電気自動車（ＥＶ）大手テスラのイーロン・マスク最高経営責任者（ＣＥＯ）が１２日、Ｘ（旧ツイッター）で対談した。Ｘの音声対話サービスで行われ、１２０万人以上が視聴したとみられる。

　トランプ氏はテスラのＥＶを「素晴らしい」と称賛しつつ「ＥＶをつくり、動かすためにも化石燃料が必要だ」と述べた。マスク氏は「（社会は）持続可能性の方向に進むべきだ」と反論した。選挙戦に向けて蜜月ぶりをアピールする中、気候変動を巡る立場の違いが鮮明になった格好だ。

　トランプ氏は、バイデン政権が導入したＥＶ支援策を見直すとみられ、米国のＥＶ産業への打撃が予想される。マスク氏は、高いブランド力を持つテスラ車への影響は少ないと主張しているが、トランプ氏への接近で自社に都合の良い政策を促す思惑がありそうだ。トランプ氏はマスク氏の資金力に期待しているとみられる。

　マスク氏が注力し、トランプ氏が規制緩和を主張するＡＩ（人工知能）分野では、意気投合する場面もあった。「あなたが成し遂げたことは素晴らしい」と持ち上げたトランプ氏に対し、マスク氏は「あなたはエキサイティングで刺激的な未来をもたらす」と応じた。

　マスク氏はかつてパリ協定離脱を巡ってトランプ氏を批判していたが、バイデン政権の労働組合重視の姿勢などに反発し、トランプ氏支持に転換した。（ニューヨーク　小林泰裕、ワシントン　田中宏幸）