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企業版ふるさと納税、来年3月の期限延長と拡充求める声強まる…25年度税制改正で論点に

読売新聞 / 2024年8月13日 18時55分

熊本県庁で行われた企業版ふるさと納税の贈呈式(明治安田生命保険提供)

 企業が自治体の地方創生事業を支援する「企業版ふるさと納税」制度について、来年3月末に迎える期限の延長と拡充を求める声が強まっている。自治体の貴重な財源となっているのに加え、企業も地域貢献をアピールできる。寄付額は増加傾向にあり、与党が今秋から始める2025年度税制改正で論点の一つになりそうだ。(山崎崇史)

 22年度の寄付額は341億円で、創設した16年度(7億5000万円)から約45倍に伸びた。全国の1276自治体が寄付を受け、最も多かったのは静岡県裾野市の15億4600万円。北海道大樹町の14億700万円、宮城県の12億7000万円が続いた。

 個人向けのふるさと納税と異なり、返礼品がない。自治体が実際に使える金額も大きく、子ども向け室内遊戯施設の整備(北海道南幌町)や奨学金制度の運営(群馬県下仁田町)などに使われている。

 企業にとっても、イメージ向上や自治体との関係を深めることが期待できる。

 明治安田生命保険は今年6月、熊本県に1億円の寄付を実施し、健康作りや高校生向けのキャリア教育を支援している。同社は地域振興や課題解決に活用できるかどうかを基準に寄付先を選んでいるとし、「地域支援の有効な支援の一つとして活用している」(広報)という。

 制度は24年度までとなっており、延長や拡充を求める声が上がっている。

 経済同友会などは7月、制度の恒久化の検討、本社のある自治体への寄付も認めることを求める提言を鈴木財務相に提出した。新浪剛史代表幹事は「(制度活用で)企業価値の向上を実現したい」と強調する。

 日本商工会議所は25年度税制改正の要望書に、期限延長や拡充を盛り込むことを検討している。全国知事会も今月2日、5年間の延長を求める提言をまとめた。

 制度は、20年度税制改正で拡充されている。それまでは税額控除が最大3割だったが、最大6割に引き上げられた。損金算入を含めた税の軽減効果は、最大6割から最大9割まで高まった。30億円台にとどまっていた寄付額が、20年度は一気に100億円を超える効果があっただけに、企業や自治体の期待は大きい。

 一方、課題も明らかになっている。福島県国見町では、救急車開発に関する事業に寄付の手を挙げた会社が、その製造を受託した会社と同じグループ企業だったことが判明。節税対策の疑いが指摘された。

 政府が6月に閣議決定した経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)には、「取り組み状況等を総合的に検証するとともに、制度のあり方を検討する」と盛り込まれた。

 自民党税制調査会の幹部は「まずは現行制度の抜け穴や課題を整理する必要がある」と話す。年末に向けた与党の議論では、透明性の確保など、運用面の見直しも議論になりそうだ。

◆企業版ふるさと納税=国が認定した自治体の地方創生の取り組みに企業が寄付すると、法人住民税などの特別な減税措置が受けられる。通常の寄付は寄付額の約3割が軽減されるが、この制度では最大9割となる。都市部に集中する企業からの税収を地方に移すことが狙いで、2016年度に創設された。本社のある自治体への寄付は対象外となっている。

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