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「クーリングシェルター」で猛暑回避、4割超の自治体が冷房の利いた公民館や薬局などに設置

読売新聞 / 2024年8月13日 22時6分

 猛暑から住民を守るため、公民館や薬局など冷房の利いた施設を「クーリングシェルター」(指定暑熱避難施設)として指定し、一般開放する動きが全国で広がっている。各自治体は、専門知識のある職員を配置するなど、熱中症対策の工夫を凝らしている。

ドラッグストアやスーパーが協力

 クーリングシェルターは、4月施行の改正気候変動適応法で市町村が指定できるようになった。指定された施設は、住所や開放可能な日時が自治体のホームページなどで公表され、「熱中症特別警戒アラート」が発表されたら、住民に開放しなければならない。

 「日本一暑いまち」として知られる埼玉県熊谷市は、公共・民間施設の計30か所を指定した。公共施設が休みとなる土日でも対応できるよう、ドラッグストアやスーパーなど民間事業者への協力を積極的に呼びかけた。

 大手ドラッグストア「ウエルシア薬局」(東京)は、市内6店舗で指定を受けた。このうち「熊谷箱田二丁目店」は午前9時~午後6時、カフェスペース12席を開放。アラート発表がなくても、店舗の軒下の日陰で休憩している人に入店を促している。今井雄之店長(35)は「入り口にのぼりを掲げているが、指定を知らない人は多い。もっとアピールしたい」と力を込める。

 環境省によると、7月30日時点で全国1741自治体のうち、4割超の746自治体がシェルターを指定しており、富山、茨城両県では全市町村が取り組んでいる。

「常連」も誕生

 各自治体は、来訪者が安全に過ごせるよう知恵を絞る。群馬県富岡市は、指定した26施設のうち、公共施設23か所に製薬会社の講座で熱中症の知識を学んだ職員計50人を「熱中症対策アンバサダー(大使)」として配置した。

 市内の高瀬地域づくりセンター(旧公民館)の休憩室は、テーブル2卓、椅子8脚があり、体調不良の人に飲料水を提供し、地域イベントの動画も鑑賞できるようにしている。酷暑をしのげる施設として周知され「常連」もできた。グラウンドゴルフの練習後や犬の散歩の途中に立ち寄るという女性(73)は、「仲間との歓談の場になっている」と笑顔をみせる。

候補施設が少ない地域も

 ただ、シェルターの指定は、冷房設備の保有やアラート発表時の開放などの基準を満たさなければならず、民間施設の場合は施設管理者との協定も必要だ。自治体の設置率が6・5%と全国で最も低い長野県では、人口の少ない町村で指定が進まず、県は「候補施設が限られ、職員数が少ない小規模自治体では選定が負担になっている」(健康福祉政策課)と推測する。

 千葉県では、シェルターに加え、より柔軟な運用が可能で、市町村が自主的に置く「涼み どころ」の設置も促している。市町村に説明会を開いたり、候補企業を紹介したりしており、県の担当者は「なるべく全市町村に設置が進むよう促したい」と話している。

◆熱中症特別警戒アラート=熱中症で人の健康に重大な被害が生ずる恐れがあると予測される場合、環境省が前日午後2時に対象の都道府県を発表する。4月24日に運用が開始されて以降、発表実績はない。

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