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諏訪内晶子がブラームスのバイオリン・ソナタ録音…スリリングな個性派との共演、準備に1年

読売新聞 / 2024年8月16日 17時0分

「単なる伴奏を超えたピアニストとの相乗効果にワクワクする」=永井秀典撮影

 いまやベテランの風格を備えるバイオリニストの諏訪内晶子が、満を持してブラームスのバイオリン・ソナタ3曲を録音した。同曲による9月のリサイタルツアーを前に、録音で共演したピアニストとの「スリリングな体験」を語った。(松本良一)

 19世紀ロマン派を代表する名曲を名門デッカ・レーベルで録音するにあたり、共演ピアニストに選んだのはブルガリア生まれのエフゲニ・ボジャノフ。「欧州の音楽祭で室内楽を共演する機会があり、面白い音楽作りをする人だなと。私とはまったく違うタイプなので、そこにひかれました」。昨年は日本で一緒にリサイタルツアーを行った。

 エリザベート王妃国際音楽コンクールで2位入賞の実績を持つボジャノフは、鋭い感性で独自の演奏解釈を追求する個性派だ。1年間毎月リハーサルを重ね、準備万端整え臨んだ録音は、「予想はしていましたが、いろいろありました」と苦笑いする。

 「まず音楽を仕上げていく際の時間のかけ方が違うので、そこを合わせるのが大変でした。さらにお互い言葉では説明せず、演奏しながら共通点を探るので、ものすごく時間がかかる」

 だが、録音はそのようなプロセスを感じさせない。潤い豊かなバイオリンにピアノがぴったり寄り添い、手を取り合って進んでいく。

 バイオリン・ソナタ第1番では、一貫して朗々と流れ続ける音楽に見事な構築性が与えられている。「そういう時、彼のピアノは多彩な響きを武器に一つひとつの音に意味を与え、とても繊細に音楽を作っていく」。準備に時間をかければかけるほど音楽は深みを増していく好例だ。

 「これほど長い時間、意見の異なる音楽家と共同作業をしたことはなかった」と振り返る。時にぶつかることもあったが、「良い音楽を作りたい」という思いは一致していたという。これこそ室内楽の理想像ではないだろうか。

 9月のツアーでピアニストを務めるのは、米国人のオライオン・ワイス。「室内楽の経験が豊富でボジャノフとは異なるタイプの人。録音とはまた違う演奏になるでしょう」。彼女のバイオリンがどう異なる表情を見せるのか楽しみだ。

 8日午後2時、ミューザ川崎シンフォニーホール、12日午後7時、東京・初台のオペラシティコンサートホール。(電)0570・00・1212。

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