花巻東の小松龍一、観客どよめく最速１５０キロ…初戦で敗退も「甲子園に戻れたのは仲間のおかげ」

先発した小松投手。２回に相手打線につかまり、試合の流れを作れなかった（甲子園球場で）＝枡田直也撮影

　第１０６回全国高校野球選手権大会第７日の１３日、花巻東（岩手）は２回戦で滋賀学園（滋賀）に０―５で敗れ、初戦突破はならなかった。序盤から相手にリードを許す苦しい展開で、中盤の好機も生かせなかった。それでも、最後まで懸命にプレーする選手たちにスタンドから惜しみない拍手が送られた。

　一回、２番打者への初球。小松龍一投手が「しっかり抑えよう」と千葉爽聖捕手のサイン通りに直球を外角低めに投げ込むと、球場のスコアボードに自己最速の１５０キロが表示された。観衆がどよめくなか、表情を変えることもなく、空振り三振に仕留めた。

　昨夏の甲子園。仙台育英（宮城）との準々決勝で先発したが、４失点で降板。「来年は最後の夏。借りを返そう」と雪辱を誓ったが、その道のりは順調ではなかった。

　昨秋の県大会は初戦敗退。今春は県大会前に右肩を痛め、投げられない日々が続いた。それでも「エースナンバーを背負わせてくれるみんなの期待に応えよう」と球速アップに取り組み、東北大会決勝で好投して優勝に貢献した。

　夏の岩手大会では、２試合で計５回を投げただけだったが、準決勝では自己最速をマーク。自信を取り戻して甲子園に戻ってきた。

　この日、二回からは変化球の制球が定まらず、３点を失って降板。最後の夏を勝利で飾れなかったが、試合後は「甲子園に戻ることができたのは仲間のおかげ」とチームメートに感謝した。（有沢ゆうり）

村上太一主将「バント処理で崩れ、自分たちの野球ができずに終わった。後輩たちは気持ちを切り替え、また甲子園に帰ってきてほしい」