霞ヶ浦の救援・真仲踏ん張った…交代時に「すいません」と謝った後輩のため・「何がなんでも校歌を歌う」ため

智弁和歌山に勝利しガッツポーズする霞ヶ浦の真仲＝枡田直也撮影

　第１０６回全国高校野球大会第７日の１３日、２回戦４試合が行われた。霞ヶ浦（茨城）は延長十一回タイブレイクの末、智弁和歌山（和歌山）に競り勝ち、初出場校同士の対決は、石橋（栃木）の入江が聖和学園（宮城）を完封し、ともに甲子園初勝利を挙げた。今春の選抜８強の青森山田（青森）は長野日大（長野）に快勝し、７年ぶりの初戦突破。滋賀学園（滋賀）は投打がかみ合い、最後の登場となった花巻東（岩手）を破って、初めて３回戦に進んだ。

霞ヶ浦５―４智弁和歌山

　霞ヶ浦は延長十一回、片見、真仲の連続適時打で２点を勝ち越し、その裏を真仲が１点でしのいだ。智弁和歌山は３点を追う八回、高桑、花田の２者連続本塁打で追いついたが、最後は力尽きた。

制球力に自信

　流れは完全に相手へ傾いていた。８０～９０キロ台のカーブを効果的に使い、智弁和歌山の強力打線を封じていた２年生左腕の市村が八回、３番に２ランを浴びて１点差。４番には初球を捉えられてソロを許し、アッという間に３点のリードが消えた。

　相手の勢いにのみ込まれそうな状況で送り出されたのは、３年生右腕の真仲だ。昨秋、適性を見抜いた高橋監督の勧めで内野手から投手に転向。安打になる確率が小さい「低め」にこだわって練習してきた。この制球が生きた。

　初球を二塁打にされたが、次打者を前に目を閉じて、自らに言い聞かせた。「低めか、外のコースに決めれば大丈夫」。最後は外角へのスライダーで三ゴロに打ち取り、切り抜けた。

　落ち着く暇はない。延長十回からタイブレイクに入り、無死一、二塁で始まるからだ。「茨城大会でも厳しい場面で投げてきた」経験と自信を胸に、一死後、３番を二飛、４番を遊ゴロに仕留めた。自らの適時打などで２点を勝ち越した直後の十一回裏は最少失点で切り抜け、ガッツポーズして喜んだ。

　交代時に「すいません」と謝った後輩の、そして、「何がなんでも校歌を歌う」ために腕を振った。甲子園初勝利の相手が、３年前の優勝校。最初のページに刻む新たな歴史としては、これ以上ない１勝となった。（藤井竜太郎）

霞ヶ浦・高橋監督「（甲子園初勝利に）校歌を歌えて感動的。（救援の）真仲はあの状況であれだけの投球ができると思わず、すごいなとびっくりしている」

智弁和歌山　粘り及ばず

　好投した智弁和歌山の２番手右腕・渡辺はタイブレイクに入った延長で失点した。３点を追う六回から救援。「流れが悪かったので自分の投球で攻撃につなげよう」と走者を出しても粘り、得点を与えなかった。しかし、十一回は二死からボテボテの打球が内野安打になるなどして、２点を奪われた。試合後は、「苦しいところを追いついてくれたのに、最後は抑えられなかった」と泣き崩れた。

智弁和歌山・中谷監督「悔しい。結果がすべて。（八回に追いつき）あの流れで一気にいきたかったが、同点で止められ、相手の力が上だった」