1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 社会
  4. 社会

勤務は正午から午後9時・完全歩合制の報酬…SNS型投資詐欺、打ち子「営業している感覚だった」

読売新聞 / 2024年8月14日 7時40分

 大阪市を拠点とするSNS型投資詐欺グループを巡る事件で、逮捕された92人のうちの1人で、SNSで不特定多数にメッセージを送る「打ち子」だった20歳代の男性が釈放後、取材に応じた。グループでは、インスタグラムで投資に関心がある人を探す役割と LINE ラインで情報商材を勧める役割を分担し、商材の売上額を競っていたという。男性は「だましているのではなく、営業をしている感覚だった」と語った。

分業制

 大阪府警によると、グループはSNSで投資の講師になりすまし、為替相場の上げ下げを予想するバイナリーオプション(BO)取引で利益を得るための情報商材の購入費名目で現金を詐取するなどした疑いがある。

 男性は1年ほど前、友人に「稼げる営業の仕事がある」と誘われ、大阪市内のビルの一室に通い始めた。同じ部屋にいたのは同年代とみられる若者約20人。机には1人あたり数十台のスマートフォンが用意され、正午から午後9時まで、インスタグラムの数十のアカウントを使い、「上司」が用意したシナリオ通りにメッセージを送り続けた。

 グループが使用していたアカウントは、「えみ」や「rika」などの名前で若い女性を装い、不特定多数のアカウントをフォロー。「インスタ映え」するブランド品や料理の画像とともに、「未経験でも利益を出せる」「生徒30人弱を見てきたが、1000万円超えが7人」などと投資の成功話を繰り返し投稿していた。

 男性も若い女性を装って投稿し、それを見てフォローしてきた相手には「投資の講師をしている」とメッセージを送った。やり取りはメッセージだけで、BO取引について「FX(外国為替証拠金)取引を簡単にしたもので、リスクは少ない」などと説明。相手が興味を持つと、LINEでのやり取りを持ちかけ、同じ部屋にいるLINE担当へと引き継いだ。

 LINE担当は「指示通りに投資すれば利益が出せる」と情報商材を紹介。購入を決めた人にはフリーマーケット(フリマ)アプリで代金として数十万~数百万円を送金させた。情報商材の出品は禁じられているため、トレーディングカードやブロック玩具などの売買を装っていたという。

後悔

 室内のホワイトボードにはメンバーの氏名や売上額、順位が記され、「2000万円は売ろう」と全体の月間目標が掲げられていた。「社長」や「リーダー」と呼ばれるメンバーもおり、「やった分だけ稼げるのに、なぜやらないの」「自分に厳しいやつだけが売れる」などと言われた。男性は「売り上げを競い合う雰囲気があった」と振り返る。

 また、「経済的に苦しい人には『同じ境遇だったが、投資で成功した』という設定にする」などのノウハウがメンバー間で共有されていた。報酬は完全歩合制で、男性は月に300万円売り上げ、その2割にあたる60万円の報酬を得たこともあったという。

 府警はこれまでに、詐欺や詐欺未遂の疑いで男女92人を逮捕。主犯格ら3人を公開手配し、捜査を続けている。関与の度合いなどを考慮し、男性を含む50人は釈放され、任意で事情を聞いている。

 男性は「グループの集会には数百人がいたので、逮捕されたのは一部だと思う」と話し、「今後は似た話があっても近づかない」と悔やんだ。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください