ウクライナの越境攻撃「次の段階に向け準備」ゼレンスキー大統領…７４の集落制圧との報告受ける

ロシアとの国境検問所から軍用車両に乗って出発するウクライナ軍（１３日）＝ロイター

　ウクライナ軍がロシア西部クルスク州で続けている越境攻撃について、ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は１３日、ＳＮＳを通じ「次の段階に向けた準備が続いている」ことを明らかにし、作戦を継続する姿勢を強調した。

　「次の段階」の詳細は明らかにしなかった。ウクライナの英字紙「キーウ・ポスト」などは、ウクライナ軍が 塹壕 （ざんごう）を掘るなど制圧した地域の防御を強化し始めているとの情報を伝えている。長期間の作戦を念頭に置いている可能性がある。

　ただ、ウクライナ外務省の報道官は１３日、「ウクライナはクルスク州の領土を奪うことに関心はない」と述べ、長期占領や併合を計画していないと強調した。

　ゼレンスキー氏はＳＮＳで、オレクサンドル・シルスキー軍総司令官とのオンラインでのやり取りを一部公開した。シルスキー氏から「ウクライナ軍が７４の集落を制圧した」と報告を受けたことも明らかにした。

　１３日のビデオ演説でゼレンスキー氏は「数百人のロシア兵が投降しているが、ロシア軍にいるよりも人道的な扱いを受けるだろう」と述べた。投降したロシア兵を将来的に捕虜交換の対象にする考えを示した。

　一方、１３日にウクライナを訪問したリトアニアの国防相は、ロシアがバルト海に面した飛び地カリーニングラードからクルスク州に一部戦力を移動させているとの分析を明らかにした。米政治専門紙ポリティコも露軍部隊の一部がウクライナ南部から転戦していると報じている。