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パリオリンピック「銀」「銅」は25個…限界突破・脱パンダ、そして驚きのメダルも

読売新聞 / 2024年8月14日 19時3分

 11日まで熱戦が展開されたパリオリンピック。日本の金メダルは20個で、海外開催だけで見ると、2004年アテネ大会の16個を上回り最多となったが、計25個を数える銀・銅メダルにも歴史的、印象的なものが目立った。(デジタル編集部)

近代五種、飛び込みで初メダル

 金メダルは、レスリングが2度の東京大会の5個を大幅に上回る8個と量産。新競技のブレイキンも女子の湯浅亜実(ダンサー名AMI)が初代女王に就くなどしたが、「銀」の中には長い時を経て達成された初メダルもあった。

 近代オリンピックの創始者クーベルタン男爵が発案し、「キング・オブ・スポーツ」と称される近代五種。日本は男子初参加の1960年ローマ大会以降、入賞すらなかったが、佐藤大宗(30)(自衛隊)が歴史を切り開いた。馬術、フェンシング、水泳の3種目をこなして締めくくりはランニングと射撃を合わせた「レーザーラン」。エジプト選手に次ぐ2位でゴールすると倒れ込んだ。「あまりいい光景ではないけど、死ぬ気でやった人の限界突破の姿」と振り返った。認知症で入院生活を送る父に6月に面会した際、「死ぬ気で戦ってこい」という言葉をかけられていた。

 日本勢のオリンピック初出場が1920年アントワープ大会という飛び込みでは、玉井陸斗(JSS宝塚)が躍動。男子高飛び込み決勝で東京大会覇者の曹縁(中国)と首位争いを演じた。2大会連続出場の高校3年生は5本目の失敗ジャンプで一時3位に後退したが、最終6本目で、決勝の12選手が披露した計72本の中で最高点となる99・00点をたたき出し2位に食い込んだ。

 17歳の玉井は決勝で最も若い選手だった。優勝の曹縁とは、39・85点差。「次は、金を取ります」と言い切った。

男子初、女子初のメダルも

 男女別で見た場合の初メダルもその競技の記念碑だ。

 初実施だった東京大会で女子が銀・銅メダルを獲得していたスポーツクライミング。9日の複合決勝で男子に初メダルをもたらしたのは初出場の高校3年生、安楽 宙斗 (そらと)(17)(JSOL)だった。四つの課題に挑む前半のボルダーで首位に立ったが、「どれだけ高く登れたか」で争う後半のリードは5位にとどまり、合計得点で2位となった。リード終盤部分で、「金」まであと3手分届かなかった。

 昨年のワールドカップでボルダー、リードともに年間王者に輝き、金メダル候補として臨んだ安楽。「銀を取れたことはうれしい。でも悔しさの方が強い」と本音も漏れた。

 男子ゴルフでは松山英樹(32)が前回東京大会でプレーオフの末に逃していたメダルを手にした。4日の最終日、4位から出て6バーディー、ノーボギーの65で回り通算17アンダー。世界ランキング1位で19アンダーのスコッティー・シェフラー(アメリカ)らに及ばなかったが、銅メダルの重さを確かめ、「(四大)メジャー(大会)とは、全然違った価値がある」と喜んだ。東京大会では女子の稲見 萌寧 (もね)が「銀」で日本勢初のメダルを獲得しており、男子ではこれが初のメダルとなった。

 これまでメダルがなかった女子で連続して取ったのがフェンシングだ。

 まず1日のフルーレ団体で、カナダ相手の3位決定戦を制した。8試合をリレーし奪った3点のリード。最終戦を託された2大会連続出場の上野優佳(22)(エア・ウォーター)が猛攻にあいながら1点差でしのいだ。2017年に就任したフルーレ担当のフランス人コーチ、フランク・ボアダン氏は「日本女子フルーレは、優しくてかわいらしい『パンダチーム』」との海外評を伝え、意識改革を促した。それに応える形で頭角を表した上野ら4人は昨年の世界選手権で16年ぶりの銅メダルを獲得。オリンピックでも結果を出し、ボアダン氏が求めた「タイガー」になった。

 3日に行われた女子サーブル団体でも「銅」を獲得。サーブル種目では男子も含めて初のオリンピックメダルだった。日本選手団の旗手を務めた江村美咲(25)(立飛ホールディングス)は、世界選手権で連覇を達成し、金メダルが期待された個人戦では3回戦敗退。団体戦でも「前に行く怖さがあった」というが、仲間の奮闘が支えになった。江村は「価値のある本当に、本当に重いメダル」と感慨深げだった。

馬術92年ぶり、セーリング20年ぶり

 競技にとって久々のメダルも誕生した。

 平均年齢40歳超で、自分たちを「初老ジャパン」と呼んでいる4人が、3種目を競う総合馬術の団体で馬術に92年ぶりのメダルをもたらした。最後の「障害飛越」は7月29日、ベルサイユ宮殿で行われ、メンバーの1人が馬の状態不良を指摘されて棄権。リザーブとの入れ替えで大幅な減点となり、順位も二つ下がった5位からのスタートになった。それでも、3人連続の障害物落下ゼロでまとめ、銅メダルに輝いた。最年長の48歳の大岩義明(nittoh)は「誰もが衝撃を受け、驚いたと思う」。この種目での初メダルが、馬術の通算2個目を飾り、1932年ロサンゼルス大会で金メダルに輝いた「バロン西」こと西 竹一 (たけいち)の快挙も改めてクローズアップされた。

 セーリングでも20年ぶりのメダルが生まれた。今大会から混合種目に変わった470級で、予選3位の岡田 奎樹 (けいじゅ)(28)(トヨタ自動車東日本)、吉岡美帆(33)(ベネッセ)組が、上位10艇で争う8日のメダルレースでも3位に入り、総合で銀メダルに輝いた。

 2人は2021年東京大会、男子、女子の種目でそれぞれ出場し、ともに7位。同年秋、岡田の誘いに吉岡が応じて新種目に挑むと、昨年の世界選手権は優勝、今年の470級世界選手権も3位に入った。

 今回のオリンピックでも、岡田が「身長が高くて、気合がある」と評する1メートル77の吉岡と、関係者から「風を読む天才」と呼ばれる1メートル70の岡田が名コンビぶりを発揮。1996年アトランタ大会女子470級「銀」の重由美子、木下アリーシア組、2004年アテネ大会男子470級「銅」の関一人、轟賢二郎組に続く、セーリング3個目のメダル獲得となった。

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