小松大谷 ９２球完封 緩急、間合い 大阪桐蔭を翻弄

大阪桐蔭打線を完封した小松大谷の西川＝大金史典撮影

　第１０６回全国高校野球大会第８日の１４日、２回戦４試合が行われた。智弁学園（奈良）は、春夏連覇を目指した健大高崎（群馬）を逆転で破り、２年連続で３回戦へ進んだ。京都国際（京都）の西村は新潟産大付（新潟）を、小松大谷（石川）の西川は、過去５度優勝の大阪桐蔭（大阪）を完封した。小松大谷は初めての１６強入り。西日本短大付（福岡）は、 菰野 （こもの）（三重）に今大会最多１３得点で大勝し、１４年ぶりに２回戦を突破した。

小松大谷３―０大阪桐蔭

　小松大谷は七回、敵失で均衡を破ると、田西の適時打で加点。八回には西川の適時内野安打でリードを広げた。西川が５安打完封。大阪桐蔭は打線が投手陣を援護できず、守りでのミスが痛かった。

　手玉に取った、という表現がピッタリの完封劇だった。小松大谷の西川は打者ごとに違う姿を見せた。投球の間を変えたり、走者なしでクイックモーションを交ぜたり。ここに緩急も加え、強力打線を 翻弄 （ほんろう）した。

　最大のピンチは三回。二死二塁で４番を迎え、暴投で三塁への進塁を許した。だが、右飛に仕留めて切り抜けた。投球プランもはまった。「前半に温存したチェンジアップが後半、効果的だった」。六回以降は二塁を踏ませなかった。大阪桐蔭・西谷監督は「狙い球を絞ったが、うまくいかず、間合いを取りながら粘り強く投げられた」と脱帽した。

　この快投に打線が応えたのは七回だ。安打に敵失が絡んで待望の１点を奪い、３番 田西 （たさい）。第１打席では相手先発の直球に面食らったが、打席ごとに始動や軌道を修正した。二死三塁から直球を中前への適時打とし、「無失点に抑えていたので勝ちにこだわりたかった」と振り返った。

　エースは９２球で完封。打たせて取る投球で５安打に抑え、奪三振１、「狙っていた」という飛球でのアウトは１５を数えた。大阪桐蔭が甲子園で零封負けを喫するのは２０１５年春の選抜以来で、夏は初めてだ。西川は「実感が湧かないけど、やってしまったんだなと。今日の投球は理想に近い」と充実した表情を浮かべた。

　初戦は選抜で準優勝の経験がある明豊（大分）を、この日は春夏９度の優勝を誇る大阪桐蔭を撃破。強豪校との対戦で力を増しているチームは次戦、２１年夏の準優勝校・智弁学園に挑む。（豊嶋茉莉）

守備綻び失点

　６年ぶりの優勝を狙った大阪桐蔭は守備の綻びが失点につながった。七回、一ゴロ併殺を狙った遊撃手の一塁送球が高くそれて先制点を与えると、八回は平嶋の暴投で広がったピンチから追加点を奪われた。今春の選抜後、守備の連係を見直し、大阪大会は７試合で１失策と堅守で勝ち上がってきた。西谷監督は「そこ（守備）を課題に、ずっとやってきたんですけどね……」と肩を落とした。

小松大谷・西野監督「信じられない気持ち。（西川の完封は）粘り強く投げてくれた結果。相手を見ながら投球できるところが長所」

大阪桐蔭・西谷監督「しぶとく、粘り強くをモットーにやってきましたけど、最後は力及ばず。残念というか、無念です」