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「コメ品薄」昨夏の猛暑で出荷量減、外食需要拡大も拍車か…さらに南海トラフ臨時情報で「買う人増えている可能性」

読売新聞 / 2024年8月16日 7時40分

 全国的なコメの品薄を受け、埼玉県内のスーパーでも値上げや購入制限の動きが広がっている。昨年の猛暑の影響で出荷量が落ち込んだためで、消費者や飲食店からは困惑の声が上がっている。(石井貴寛)

 農林水産省によると、コメの相対取引価格(卸値)は今年6月、一俵(60キロ)1万5865円で、過去10年で最高となった。コメの民間在庫量(全国)も、6月末時点で前年同月比41万トン減の156万トンと、比較可能な1999年以降で最少になっている。

 スーパーなどでの小売価格も上がっている。「激安」を売りにしている越谷市の「スーパーマルサン 越谷花田店」では、例年は8品種のコメを取り扱っているが、今夏入荷できているのは2品種に限られている。

 昨年は5キロ約1500円だった販売価格も、今年は2500円前後に値上げした。今月上旬から入荷が始まった新米は、さらに約400円高い。八木 栄樹 よしき店長(52)は「お客さんに申し訳ない」と表情を曇らせる。

 県内スーパーでは、ヤオコー(川越市)が8月下旬に予定していたコメの特売を中止し、ベルク(鶴ヶ島市)は販売数を「1家族2袋まで」に制限している。

 コメの品薄は、昨夏の猛暑で米粒が白濁したり割れたりし、出荷できる量が減ったのが主因とみられる。コロナ禍が収束して外食需要が拡大したのもコメ不足に拍車をかけている。

 さらに、今月8日に南海トラフ地震の臨時情報(巨大地震注意)が発表された後、「災害備蓄としてコメを買う人が増えている可能性もある」(農水省農産政策部企画課)という。

 さいたま市浦和区の「おおぎ 寿司 ずし」では、店で出している富山県産コシヒカリの仕入れ値が3割ほど上がったという。経営する沢辺太郎さん(80)は「すしには良いコメを使わないといけない。値上げをすればお客さんが来なくなってしまうし、頭が痛い」とぼやく。少しでも安いコメを探すため、複数のスーパーを回っているという同市大宮区の主婦(70)は「なるべく節約したいが、コメはほぼ毎日食べるので困る」とため息をついていた。

暑さに強い品種を開発

 近年の猛暑を受け、「暑さに強いコメ」として開発された県のオリジナル品種「彩のきずな」が注目されている。

 2014年に登録された品種で、根から水を吸い上げる力が強く、葉や穂の温度を下げられるため、暑さに強い。もっちりとした食感と甘みやうまみも特徴だ。

 県農林部生産振興課によると、農家の間でも猛暑対策への関心は高まっているという。彩のきずなの県内作付面積は、14年の1200ヘクタールから、昨年の6900ヘクタールに拡大した。

 県は、暑さにより強い品種「えみほころ」を開発し、現在県内31か所で実証栽培に取り組んでいる。

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