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名前の由来は凱旋門、ローランギャロスで2冠狙う18歳…出るか「大道芸みたいなテニス」

読売新聞 / 2024年8月20日 14時41分

初出場のパラリンピックで金メダルを狙う小田凱人=松本拓也撮影

[エース出陣 パラ編]<1>車いすテニス男子 小田凱人 18(東海理化)

 28日にパリ・パラリンピックが開幕する。日本選手は海外開催の大会では史上最多176選手が舞台に立つ。大きな飛躍が期待されているのがパラリンピック初出場の選手たちだ。

相性いい赤土

 パリ・パラリンピックの舞台となる仏テニス界の聖地、ローランギャロスは、もはや慣れ親しんだ庭のような場所かもしれない。

 同じ会場で行われる全仏オープンは昨年、決勝でアルフィー・ヒューエット(英)にストレート勝ちし四大大会初制覇。国際テニス連盟(ITF)によると、17歳33日での優勝は、男子シングルスでは健常者も含め四大大会史上最年少の快挙で、今年は2連覇を達成した。今季、赤土での公式戦は全仏を含めて9戦全勝と抜群の強さだ。「最終目標というか、最優先にしてやってきた」。パラは初出場だが、金メダルの有力候補と言っていいだろう。

 第1セットから、ガツンと相手の球を打ち返して積極的にポイントを奪うのが小田のスタイル。「日本人でも世界と戦い、なおかつ10代でも、体の大きい選手や、経験値のある選手に立ち向かえることを、僕は証明してきた」と自負する。

 今年の全仏は、全4試合をストレート勝ちと対戦相手を圧倒し、決勝では、ショットを見切り、車いすを一回転させて打ち返す曲芸のような技も披露した。「ただ、ポイントを取るだけじゃなくて、大道芸みたいなテニスがしたい」と小田。2連覇を達成したコート上では、「Je t’aime Paris(パリ、愛している)」と書いてあった手首のテーピングをはがして掲げた。常に観客を意識し、遊び心にあふれるプレーや振る舞いも見せる。

 全仏後に行われた7月の英ウィンブルドン選手権は準決勝で敗れ、こちらは連覇を逃した。「数か月、いい調子が続いていて全部、勝ってパラに臨むのも怖かった。後はパラに懸けるしかない」と気持ちを入れ直す。黒星で自信を失うのではなく、発奮材料に変えられる芯の強さがある。パラではシングルスに加えて、4度目のパラ出場となる35歳の三木拓也(トヨタ自動車)と組んで男子ダブルスにも出場する予定だ。「出るからには、2冠を狙わない人はいない」と言い、ダブルメダルも期待される。

 凱人という名前はパリの名所、 凱旋 がいせん門をイメージした両親が、「勝ちどきを上げる意味から」名付けたという。パラスポーツの新時代の旗手として、4年に1度の大舞台で勝ち名乗りを受ける瞬間を心待ちにしている。(平地一紀)

おだ・ときと 2006年5月8日生まれ。愛知県出身。9歳の時に骨肉腫を発症し、10歳で車いすテニスを始めた。22年にプロに転向し、四大大会は今年6月に全仏オープン2連覇を達成した。昨年7月に英ウィンブルドン選手権、今年1月に全豪オープンで初優勝している。

[世界のライバル]英のヒューエット 生涯グランドスラム

 現在の世界ランキング1位は、26歳のアルフィー・ヒューエット(英)。7月に地元開催のウィンブルドン選手権を初制覇し、四大大会を全て制する「生涯グランドスラム」を達成した。ツアー対戦成績は、ヒューエットの8勝7敗と、ほぼ互角だが、最近の対戦は小田が2連勝中。小田はヒューエットについて、球を引きつけ、角度をつけて短いショットを打つ「ショートクロス」を警戒ポイントに挙げたことがある。

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