神村学園 左８人で左攻略

６回神村学園、今村が勝ち越し打を放つ

　第１０６回全国高校野球大会第９日の１５日、２回戦４試合が行われた。大社（島根）が延長タイブレイクの末に創成館（長崎）を破り、杵築中として初出場した１９１７年以来１０７年ぶりの夏２勝を果たした。早稲田実（西東京）も延長タイブレイクで鶴岡東（山形）にサヨナラ勝ち。神村学園（鹿児島）は中京大中京（愛知）を退け、岡山学芸館（岡山）は掛川西（静岡）を零封して勝ち進んだ。第１０日から３回戦に入る。

神村学園４―３中京大中京

　神村学園は六回、上川床と今村の適時打などで３点を奪い逆転、九回にも入来田のソロで加点した。今村は２試合連続の完投。中京大中京は九回、神谷の適時打で１点差としたが、あと一歩及ばず。

外角狙い打ち

　神村学園のスタメンには３番今岡以外、左打者が８人並ぶ。対する中京大中京の先発は左腕・中井。不利とされる対決を、周到な準備ではね返した。

　六回。一死二塁で６番上川床は、外角低めのスライダーを中前にはじき返した。「外の球が多いと分かっていた。打つべき球を打てた」と、してやったり。二ゴロの間に追いつくと、なお二死三塁で９番今村が同じ球を中前打にして勝ち越した。

　左投手に設定した打撃マシンで練習を繰り返し、メンバー外の左投げ選手も打撃投手を務めた。今村は「左腕攻略に時間を割いてきた。狙っていた球を打てた」と、難しい球筋に反応できた理由を明かした。

　試合後、小田監督は「監督になって練習試合で一度も勝ったことがなかった。１０年かけて、やっと中京大中京さんに勝つことができた」と喜んだ。

　全国選手権優勝７度を数える強豪を甲子園で破った。大きな自信が、選手にも監督にも宿った。（古島弘章）

神村学園・小田監督「辛抱が必要な試合になると思っていた。苦しい展開を逆転してくれてうれしい」

中京大中京　主将３安打

　１点差で敗れた中京大中京の主将杉浦は「あと一歩及ばなかった」と悔しがった。４番打者としては四回に二塁打で出塁し、追加点の起点となるなど３安打と気を吐いた。捕手としても先発の中井ら４投手をリード。六回に３失点した場面を振り返り、「マウンドの中井や、周りが動揺していたのを落ち着かせられなかった。捕手として悔しい」と責任を背負い込んだ。

中京大中京・高橋監督「選手一丸となる姿を見て、たくましくなったと感じた。勝ちきれなかったことには悔しさがある。後半の好機をものにできなかった」