大社 １０７年ぶり夏２勝…絶妙スクイズ２度

８回大社、園山が同点スクイズを決める

　第１０６回全国高校野球大会第９日の１５日、２回戦４試合が行われた。大社（島根）が延長タイブレイクの末に創成館（長崎）を破り、杵築中として初出場した１９１７年以来１０７年ぶりの夏２勝を果たした。早稲田実（西東京）も延長タイブレイクで鶴岡東（山形）にサヨナラ勝ち。神村学園（鹿児島）は中京大中京（愛知）を退け、岡山学芸館（岡山）は掛川西（静岡）を零封して勝ち進んだ。第１０日から３回戦に入る。

大社５―４創成館

　大社は八回、園山のスクイズなどで２点を追いつくと、十回には敵失と再び園山のスクイズで計２点。馬庭が４失点完投した。創成館は２度のリードを守れず、十回も１点を返すにとどまった。

　大社の園山には勝算があった。創成館の村田が投げる球は「バント練習の時のマシンや投手の軌道、回転、球速とほぼ同じ。イメージしやすかった」という。

　八回、敵失で１点差に迫った直後、スクイズのサインに「プレッシャーはなかった。よし、絶対やってやろうと思っていた」。体勢を低く、倒れ込みながらも投手前へ勢いなく転がし、同点の走者を迎え入れた。

　延長に入った。ここも敵失で１点勝ち越した一死二、三塁だった。今度は打球が転がるのを見てから、走者がスタートを切るセーフティースクイズのサイン。より慎重にやや三塁方向へ転がし、２点を勝ち越した。

　大社は１点にこだわって戦ってきた。だから園山は「バントで１点を取る野球をするだけだった」と、こともなげに言う。だが、練習は誰よりもした。５０球連続で時にはスリーバントスクイズも想定し「当てる場所、転がす方向、姿勢。この１球で試合が決まるという覚悟で練習した」と明かした。

　警戒される中でのスクイズによる２打点は、１回戦の報徳学園（兵庫）戦に続く接戦を制する原動力となった。ベスト１６で、残り少ない公立勢が、まばゆい光を放っている。（中村孝）

大社・石飛監督「創成館は強豪だし、監督の著書も読んで勉強した。素晴らしい相手との本気の試合が、選手の力を引き出してくれた」

創成館エース　救援に力んだ

　創成館のエース右腕・村田は六回から救援。「気持ちが高ぶっていた」と力みで直球が高めに浮き、カーブでもストライクが取れず、制球に苦しんだ。２イニングは無失点に抑えたが、八回に２点差を追いつかれると、十回にスクイズなどで２点を失った。「もう少しみんなと野球をやりたかった。後輩たちには来年の春も夏も甲子園に戻ってきてほしい」とエールを送った。

創成館・ 稙田 （わさだ） 監督 「（相手投手の馬庭は）球速以上に球に勢いがあって、なかなか前へ飛ばせなかった。継投は予定通り」