1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 経済
  4. 経済

「グループのDNAは証券ビジネス、リスクマネーを供給するのが役割で日本経済の発展に貢献したい」…大和証券グループ本社・荻野明彦社長

読売新聞 / 2024年8月16日 17時0分

大和証券グループ本社の荻野社長(東京都千代田区で)=野口哲司撮影

 大和証券グループ本社は、証券以外の周辺ビジネスを強化するハイブリッド経営を進めてきた。異業種との連携も広げ、リスクマネーの出し手となって、日本の経済成長を支えるという。デジタルツールの活用を始めとした顧客対応など、荻野明彦社長に話を聞いた。(聞き手・桜井詠巳)

ハイブリッド戦略

 ――社長就任後、力を入れていることは。

 「事業ポートフォリオの多様化という意味で、ハイブリッド戦略を進めており、ある程度、ピースはそろってきた。だが、大和証券の企業価値を考えた時に、明確に考えを示せてこなかった。たとえば、(インターネットで金融サービスを提供する)大和ネクスト銀行は、10年前からやっているが、業績はその他部門に入っていた。

 今回、新たにウェルスマネジメント部門の中に入れた。大和証券の旧リテール(個人向け)、大和ネクスト銀行、(ネット証券の)大和コネクト証券が入っており、連携を深めてビジネスのシナジーを発揮したい。

 アセットマネジメント部門には、これまで証券と不動産の資産運用を入れていたが、(株式や債券以外の資産に投資する)オルタナティブを加えた。お客様からお金を集めて、資産運用するという意味で明確化した」

 ――あおぞら銀行を始め、連携が広がっている。大和証券が目指す姿は。

 「大和証券グループのDNAはやはり証券ビジネスだ。強みを生かした連携を常に考えている。たとえば、農業だったり、エネルギーだったり、不動産だったり。これらをキャッシュが回るビジネスにして、外からお金を集めて事業を大きくする。お金を集めて回していくのは得意分野だ。(高いリターンは期待できるが、焦げ付く恐れがある)リスクマネーを供給するのが役割だ。日本経済の発展に貢献したい」

「資産運用立国」最後のチャンス

 ――政府は資産運用立国の実現を目標に掲げている。

 「まさにその通りで、貯蓄から投資の流れをしっかり作らなければならない。本当に今が最後のチャンスだと思う。

 これまで何十年にわたって実現してこなかった。日経平均株価が史上最高値をつけたが、やっと三十数年前に戻っただけだ。バブルでへこんでいる間に、世界の先進国の株価は10倍、15倍になっている。彼らは、資本市場を通じて、リスクマネーを成長分野に流れる仕組みを活用して成長してきた。

 日本は民主主義で資本主義だというが、直接金融が相対的に大きくなかった。今こそ、証券会社が前に出てリスクマネーを供給し、国民の皆さんは、投資のリターンを享受でき、イノベーションも生まれる。こうした好循環を作っていきたい」

 ――資産運用のニーズが増え、競争が激しくなっていないか。

 「ほかの証券会社からお客様が移ってくるのではなく、新たな層が入ってきている。飽和状態になって、お客様を奪い合うという状況ではない。手数料が安いネット証券に若年層や資産形成層が流れやすい面はある。

 我々が注目しているのは、そこそこの富裕層のニーズ。単純なモノの売り買いだけでは済まない。手がけている事業の内容や家族構成、持っている資産、その人が置かれている状況から、最適なポートフォリオを考える。こうしたことは単純な売り買いでは解決しない。コンサルティングの需要が大きくなっており、重要だ。

 だから、フェーストゥーフェースの対面営業に対するニーズは、なくならない。営業社員がやるべき仕事は増えるので、サポートするデジタルのツールを用意した。かなり強化したが、継続して強くする。

 たとえば、チャットGPTは、社内の利用にとどまらず、お客様に対しても使えるようにしたい。試験的に始めたAIオペレーターも好評だ。画面の女性が、お客様の質問に答える。

 コールセンターに電話をかけると、オペレーターが出るまで、何度もボタンを押さないといけない。ぱっとAIオペレーターが出れば、お客様のストレスは減るはずだ。将来、わが社のコールセンターで活用することも検討している。

 環境の変化が昔に比べてだいぶ早くなっている。スピード感をもって取り組むことが重要だ。スピード感、現場力、適正なリスクを取る。この三つを常に心がけて動くように、部長、店長クラスに口酸っぱく言っている」

 ――策定に関わった中期経営計画への思いは。

 「今回の中期経営計画から、『お客様の資産価値最大化』をうたっている。中田誠司前社長が進めてきた資産管理型ビジネスを一歩、高い目線に引き上げたと思っている。

 中計は過去10回策定されており、2回目以降は何らかの立場で関与してきた。企画部門の人たちが、経営トップと相談して、きれいな形にしてきたと思うが、内容がどんどん細かくなってしまった。空で言える営業社員はほとんどいない。グループの全社員が誰でも覚えているようなものにしたかった。それが、お客様の資産価値最大化という言葉に集約されている」

◆荻野明彦氏(おぎの・あきひこ) 1989年早大理工卒、大和証券(現・大和証券グループ本社)入社。取締役、副社長を経て、2024年4月から社長。経営企画部門が長く、人事や法務なども担当した。花が好き。今年は研修を終えた新入社員ら約400人にフラワーボックスを送ったという。静岡県出身。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください