1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 社会
  4. 社会

GDPプラス 賃上げ継続で成長力高めたい

読売新聞 / 2024年8月17日 5時0分

 個人消費の回復は朗報だが、先行きは楽観できない。経済の好循環を実現するには、物価高を上回る賃上げを持続していくことが不可欠だ。

 2024年4~6月期の実質国内総生産(GDP)速報値は、前期比の年率換算で3・1%増だった。プラス成長は2四半期ぶりだ。GDPの過半を占める個人消費が前期比1%増と5四半期ぶりに増加に転じたことが大きい。

 自動車販売が大きく伸び、個人消費の上昇分の約半分を占めた。エアコン需要も堅調で、外食や衣服の消費も上向いたという。

 内需のもう一つの柱である企業の設備投資も0・9%増と2四半期ぶりのプラスとなった。

 日本経済は、物価高で節約志向が強まり、個人消費の弱さが懸念されてきただけに、復調の兆しが見えたのは好材料だと言える。

 ただし、消費や設備投資のプラス転換は、ダイハツ工業が、認証不正問題で止めていた車の出荷を再開したという一時的な要因もあり、先行きの警戒は怠れない。

 今春闘の賃上げ率は33年ぶりの高い水準で、物価変動の影響を除いた実質賃金は、2年3か月ぶりにプラスに転じた。

 内需主導の成長を実現するには、高い賃上げを消費拡大につなげていくことが必要である。

 一方、物価の影響を含めた名目GDPでみると、年換算で607兆円と初めて600兆円を突破した。安倍内閣が15年に掲げた目標を9年かけて達成した。

 名目GDPが500兆円を超えたのは1992年度だ。30年以上かけて100兆円増やした形だが、その間、経済は停滞し、ドル換算で中国とドイツに抜かれ、世界2位から4位に転落した。

 日本が国際的に高い存在感を維持する上で、名目GDPを伸ばしていくことは欠かせない。

 また、600兆円に到達したとはいえ、インフレのかさ上げ要因が大きく、賃上げも追いついていないため、豊かさの実感が乏しい課題も政府は直視すべきだ。

 GDPは、名目と実質のいずれも増やすことが大切だが、経済の実態をより示すのは、物価の影響を除いた実質GDPである。

 実質GDPを伸ばすには、政府の成長戦略の練り直しや企業の生産性向上が求められる。

 さらに成長の果実を賃上げに還元し、「成長型経済」へと移行していくには、大手企業がコスト上昇分について、適正な価格転嫁を認め、中小企業の賃上げ余力を高めることが必須になろう。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください