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東京女子医大 理事長解任で生まれ変わるか

読売新聞 / 2024年8月17日 5時0分

 歴史ある医大で、なぜ不祥事の連鎖が止まらないのか。組織の問題点を洗い出し、解体的出直しを図らねばならない。

 東京女子医科大の岩本絹子理事長が解任された。女子医大を巡っては、岩本氏の側近だった同窓会組織の元職員に不正な給与が支払われたとして、警視庁が今年3月、特別背任容疑で、理事長室などを一斉捜索していた。

 女子医大では2001年以降、深刻な医療事故が相次ぎ、経営が悪化した。創立者一族の岩本氏は再建を託され、14年に副理事長、19年には理事長に就いていた。

 不透明な支出に、岩本氏はどこまで関与したのか。実態を詳しく解明することが不可欠だ。

 岩本氏が経営に参画して以降、女子医大では、卒業生から同窓会への寄付額を点数化し、その子女を対象にした推薦入試で点数の高い人を有利に扱っていた。

 私大が入試の際に寄付金を受け取ることは文部科学省の通知で禁じられている。女子医大の行為は、これに抵触する恐れがある。

 岩本氏は、教職員の人件費削減も進め、医師や看護師の大量退職を招いた。大学は今、危機的な状況にある。医療の質を顧みず、コストカットを強行した手法に問題があったのではないか。

 一連の問題を調査した第三者委員会は、元職員には、大学側と同窓会から二重に給与が支払われていたと認定した。入試の寄付金問題や人件費削減についても、不適切だったと指摘した。

 岩本氏には、こうした疑惑とは別に、知人の会社と大学が結んだコンサルティング契約の資金が、岩本氏側に不正に還流した疑いもあるという。第三者委は、学内で問題が多発する背景には「岩本一強」の体制があったと断じた。

 他の大学幹部らは、岩本氏への権限の集中をなぜ食い止められなかったのか。ガバナンス(組織統治)の欠如は深刻な状況だ。

 明治期創立の東京女医学校を前身とする女子医大は、女性医師を積極的に育てるという先進性を持ち、かつては著名な外科医らを擁する名門として知られた。

 医大には、医師を育てるほか、大学病院で高度な医療を提供し、社会に貢献する使命がある。そのため、国からも手厚い財政支援を受けている。その医大で不祥事が相次ぎ、十分な医療が提供できない現状は、放置できない。

 女子医大は、組織の再生計画を早期に示すべきだ。支出のチェック機能を強化するほか、内部通報制度を拡充することも重要だ。

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