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災害弱者を守るため「福祉」と「防災」を交差、他の施設と相互支援の協定を…同志社大・立木茂雄教授に聞く

読売新聞 / 2024年8月17日 18時47分

立木茂雄・同志社大教授

 南海トラフ地震から高齢者や障害者といった「災害弱者」をどう守るべきか。課題と対策を立木茂雄・同志社大教授に聞いた。

 東日本大震災では、障害者手帳を持つ人の死亡率が、宮城県で特に高く、全体死亡率の2倍程度もあった。岩手県や福島県よりも在宅での障害者支援が進んでいたのが、裏目に出た形だ。平時はいいが、緊急時の観点が欠如していたと言える。

 福祉と防災の分断は、1月の能登半島地震でも浮き彫りとなった。奥能登地方では、高齢の避難者らを受け入れられる施設が十分になく、広域避難を余儀なくされた。介護サービスなどの福祉事業者も、入居者の広域避難を業務継続計画で想定していなかった。能登半島地震の避難者に対する災害関連死の割合は、他の災害に比べて高く、広域避難による負担やストレスも影響したと考えられる。

 南海トラフ地震対策では、福祉と防災を交差させることが重要だ。福祉施設は、他の施設と事前に相互支援の協定を結び、災害時の入所者とケアする職員の受け入れを決めておくことが求められる。自治体は、被災後の医療・介護産業の再建方法を検討し、計画に位置づけておくべきだ。

 高齢者や入居者は、災害時にどこに避難するか、避難後の生活拠点をどこに置くかを、家族らと事前によく話し合っておくことが大事だ。南海トラフ地震では、津波がすぐにやって来る地域もある。グループホームに入居する場合は、海から離れたところを選ぶなど、少しでもリスクが減るような選択肢を考えてほしい。(聞き手 畑武尊)

たつき・しげお=68歳。災害時の要配慮者の支援方法を研究。東日本大震災では、宮城県で生活再建の支援にも携わった。

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