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オスプレイ 事故の原因を取り除けたのか

読売新聞 / 2024年8月18日 5時0分

 墜落事故の原因を究明し、危険性を取り除かなければ、基地周辺の住民は安心できまい。政府は米国に安全対策の徹底を求め続けるべきだ。

 鹿児島県の屋久島沖で昨年11月、米軍のオスプレイが墜落して乗員8人が死亡した事故について、米軍が調査報告書を公表した。装置の故障と、人為的ミスが重なったことが原因と結論づけた。

 報告書によると、事故機は飛行中、エンジンの動力を左翼のローターに伝える変速装置が故障し、バランスを失ったという。

 変速装置の内部では、歯車が高速回転しており、部品がすり減って不具合が生じることがあるという。このためオスプレイには、変速装置の異常を感知し、警告する仕組みが導入されている。

 事故機では、変速装置の不具合を示す警告灯が5回表示された。操縦マニュアルは、警告灯が3回点灯した段階で、近辺に着陸することを定めている。報告書は「操縦士のリスク管理が不十分」だったことも原因だと指摘した。

 操縦士の安全意識の低さには驚きを禁じ得ないが、そもそも、変速装置に異常が発生する事態を防ぐことが重要なはずだ。

 米軍は現在、オスプレイを横田基地と普天間飛行場で計約30機運用している。日本も米国から17機を輸入し、木更津駐屯地に配備している。将来は離島防衛で活用するため、佐賀空港近くに開設する駐屯地で運用する予定だ。

 米軍と自衛隊は昨年の事故後、オスプレイの運用を一時停止したが、今年3月から再開している。新たな安全対策として、変速装置の点検・整備の頻度を増やしたというが、それで十分なのか。

 木原防衛相は記者会見で「形あるものは必ず壊れる。何もオスプレイに限らない」と述べた。

 オスプレイは米国や豪州でも墜落事故を起こしており、安全性を疑う声は多い。100%の安全はないという一般論で、事故が不可抗力であるかのように述べる防衛相の姿勢は無責任すぎる。

 ヘリコプターと固定翼機の機能を併せ持つオスプレイは、高速で長距離を飛行できるのが特徴だ。垂直での離着陸も可能なため、滑走路がなくても運用できる。

 2016年の熊本地震で米軍はオスプレイを使って被災地に物資を届けた。自衛隊が災害派遣でオスプレイを使った例はないが、今後そうした事態も想定される。

 事故が起きる可能性を低減することが、活用の範囲を広げる前提となるだろう。

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