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「派閥支援求めず」と言い切る一方、安倍派議員11人同席…「派閥との距離感」難しい判断

読売新聞 / 2024年8月20日 7時1分

[スキャナー]

 自民党総裁選は19日、小林鷹之・前経済安全保障相(49)が名乗りを上げ、事実上、火ぶたが切られた。大半の派閥が解消を決めた状態での戦いとなるが、派閥を土台としたつながりは強固に残っており、「ポスト岸田」候補は派閥との距離感で立場が分かれそうだ。(政治部 海谷道隆、中田征志)

安倍派色

 「私が、派閥に関係なく、今この場に立っている事実こそが自民党が変わろうとする象徴になる」

 小林氏は国会内で行った出馬表明の記者会見でこう訴え、「派閥に支援は一切求めない」と言い切った。

 記者会見には、小林氏が所属し、解散が決まった二階派に加え、安倍派と岸田派、麻生派、解散した森山派、無派閥の中堅・若手議員計24人が同席した。小林氏は「派閥の単位、世代を超え、私の思いに共感し、立ち上がってくれた仲間がいる」と述べ、派閥横断や世代交代を重視する陣立てをアピールした。

 同席議員のうち、安倍派は11人で最多だった。小林氏はインターネット番組で派閥の政治資金規正法違反事件で安倍派議員が役職を外されている現状の見直しに言及し、物議を醸した。

 この日は安倍派の処遇に関して問われると、党の処分を受けていない議員については、「国民の一定の理解を得られた時点で適材適所の人事を行う」と慎重な言い回しにとどめた。ただ、党内からは、「支持議員に安倍派色が出過ぎだ」(閣僚経験者)との批判も出た。

認識共有

 無派閥の小泉進次郎・元環境相(43)や斎藤経済産業相(65)も出馬すれば、「脱派閥」を旗印に掲げるとみられる。小泉氏は「派閥の勘定で決まる総裁選にしてはいけない」と周囲に漏らしている。小泉氏に期待を寄せる菅前首相も「脱派閥」を持論としている。

 小泉、斎藤両氏は19日昼、経産省の大臣室で面会し、「派閥が前面に出る総裁選にしてはいけない」との認識を共有した。両氏は、自民党に大逆風が吹いた2009年衆院選の初当選同期で親しく、「何らかの形で連携する可能性がある」と見る向きもある。

 同じく無派閥の石破茂・元幹事長(67)も派閥に頼らずに支持を広げたい考えだ。とはいえ、石破氏は18日夜、東京都内で二階派事務総長だった武田良太・元総務相らと会食しており、党内では、出馬に必要な推薦人20人の確保に向け、「二階派の力を借りようとしたのではないか」との臆測も飛んだ。

ハイブリッド型

 一方、麻生派の河野デジタル相(61)や岸田派座長だった林官房長官(63)、茂木派を率いる茂木幹事長(68)はそれぞれ各派閥議員の支持を期待している。

 従来の派閥の形式を維持しているのは麻生派(54人)だけだが、解散を決めた他の派閥も議員間のつながりは保っている。派閥人脈を活用すれば、推薦人の確保などで計算がつきやすいのはこれまでと同じだ。

 ただ、派閥に全面的に依存すれば批判も免れないため、3氏とも支持議員は他派閥や無派閥からも集める「ハイブリッド型」を目指すことになりそうだ。

 特に岸田派は、退陣を表明した岸田首相(党総裁)が「派閥にとらわれない総裁選を」との意向を持っていることから、「林氏支援で派手に動くのはおかしい」との慎重論もある。林氏が出席を予定していた20日の岸田派議員の会合は中止になった。

 岸田派からは上川外相(71)、茂木派からは加藤勝信・元官房長官(68)も出馬に意欲を示しており、ベテラン議員は「林、茂木両氏とも派閥にだけ頼っているようでは支持拡大はおぼつかない」と指摘した。

日程 首相外遊に配慮 国連総会

 自民党総裁選の日程が9月12日告示、27日投開票となったのは、岸田首相の外交日程に配慮する意味合いが大きい。告示まで3週間以上の長丁場となり、出馬表明の時期など、各陣営の戦略に影響しそうだ。

 首相は22~26日頃の日程で国連総会などに出席するため、米ニューヨークへの訪問を予定している。総裁選日程は当初、「5日告示、20日投開票」案も浮上していたが、その場合、外遊時にはすでに新総裁が決まっていることになり、政府内では「首相の立場が中途半端となってしまい、望ましくない」(高官)との懸念が出ていた。

 首相自身も新総裁が選出される前に外交実績の総括となる外遊を行い、帰国後に総裁選で自ら1票を投じることを要望しており、党側が首相の意向を酌んだとみられる。

 27日投開票を巡り、党内では「今から約1か月半にわたって世論に自民党をアピールできる」と歓迎する向きが多い。7日告示、23日投開票の日程で行われる立憲民主党代表選の印象を薄められる利点を指摘する声もある。

 各候補は長期戦で中だるみを避けつつ、どう支持を拡大するか、今後の活動方針を慎重に練っている。

 小林氏に続き、石破氏も早期に出馬を表明する構えだが、所属する派閥や推薦人集めなどの状況を見極めた上で動く陣営もあるとみられる。

 党内では、茂木、小泉両氏は候補者乱立の中での埋没を避けるため、水面下で支持固めを進めつつ、出馬表明まで一定の時間をとり、差別化を図るとの見方も浮上している。

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