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富士山「弾丸登山」、規制効果で92%減…今夏もスニーカーなど軽装目立つ

読売新聞 / 2024年8月20日 9時0分

富士山登山者が集まる吉田ルートの5合目ゲート前。山小屋の予約のない人や軽装の人に係員らが注意を呼びかけていた(10日午後)=木村誠撮影

 今夏の富士山は山梨県側で初めて登山規制が行われ、例年登山者数がピークを迎えるお盆期間も比較的静かだった。ご来光を見るために夜通しで登る「弾丸登山」も減り、夜間の登山者数は前年より9割減った。一方で軽装の登山者が依然として目立っており、体にこたえる厳しい環境をどう周知していくかが課題として残っている。

受診「数人程度」

 富士山の登山ルートは山梨側に1本、静岡側に3本あり、登山者の6割が山梨側から登る。山梨県は混雑や弾丸登山を防ぐため、山梨側の吉田ルートで7月1日の山開きから規制を実施。5合目の仮設ゲートを午後4時~午前3時に閉鎖し、登山者数を1日4000人とした。1人2000円の通行料も徴収している。

 同県富士吉田市によると、今月18日までに吉田ルートの6合目を通った登山者は9万456人で、前年同期比13・8%減。弾丸登山が目立っていた午後9~11時台は166人で、同92・6%の大幅減だった。山小屋スタッフの井上義景さん(44)は「この時期は小屋の外で仮眠する人が毎日いたのだが……」と驚く。

 8合目の「富士吉田救護所」で10~12日に詰めた医師の前田 宜包 よしかねさん(63)も「以前は夜に寝られないほどの受診者が来たが、今年は数人診た程度だ」と、弾丸登山が抑制された効果が出ているとみる。

静岡にも流入せず

 山梨側を避け、登山人数の規制がない静岡側から登る人も比較的少なかった。

 環境省によると、7月の登山者数は富士山全体で8万2092人で、前年同期比10・9%減。このうち静岡側が開山した同10日以降の登山者の割合は、山梨側54・4%、静岡側45・6%で、前年比で山梨側4・1ポイント減、静岡側4・1ポイント増にとどまった。静岡県富士山世界遺産課の担当者は「お盆も登山者の割合は例年通りに推移した印象だ」と話す。

軽装なお課題

 軽装の登山者は今夏も目立つ。ラフな格好で来る外国人も多く、山梨県はゲート前で係員がスニーカー姿などの登山者に声をかけ、装備のレンタルや購入を促している。長崎幸太郎知事は7月の記者会見で「準備不足の方の通行をお断りすることも考える必要がある」と話した。

 開山後の遭難も相次いだ。静岡県警によると、静岡側では18日までに4人が死亡し、前年同期比3人増。山梨県警によると、山梨側でも3人が死亡した。

 山頂は夏でも気温が5度程度まで下がるうえ、天候も急変しやすく、雨具や防寒着がなければ命に関わる。前田さんは「低酸素下で負荷の高い運動をすると予想もしないような症状が起きる。まずは近くの山に登るなどして心肺機能を確かめてほしい」と注意を促す。

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