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イスラエル北部の港湾都市ハイファ、紛争備え「世界最大」地下病院・防空壕100か所

読売新聞 / 2024年8月20日 8時18分

 イスラエル北部の港湾都市ハイファは、レバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラとの全面的な紛争となった場合に標的とされている都市だ。ハイファを18日、記者が訪れると、地下に防空 ごうや病院の整備が進み、軍や市関係者は「あらゆる想定に備えている」と強調した。

(イスラエル北部ハイファ 福島利之、写真も)

 ハイファ港の隣に位置するラムバム病院の地下3階の駐車場には、患者用のベッドがずらりと並べられていた。広さは2万平方メートル。地下2階と合わせ、患者2000人の受け入れが可能だ。24の手術室を備え、4日分の医薬品や燃料、酸素を備蓄する。ミハエル・ハルベルタル院長(66)は「ここは世界最大の地下病院だ。あらゆる治療を行える」と胸を張った。

 北部最大の病院だが、2006年のヒズボラとの紛争の際は、地下施設がなく、砲撃におびえながら治療にあたった。その反省から地下病院を計画し、1億4000万米ドル(約206億円)を投じて2014年に地下施設を完成させた。

 パレスチナ自治区ガザで昨年10月7日に戦闘が始まったのに呼応し、ヒズボラがイスラエル北部にロケット砲を撃ち始めると、駐車場を消毒してベッドを運び込み、同9日に地下病院に早変わりさせた。看護師マヤ・モディファイさん(33)は「全面紛争が起こらないことを願うが、ここでは安心して治療を受けてもらえる」と話した。

 レバノン国境から約30キロ南のハイファは、イスラエル最大の港湾都市で海軍基地や石油備蓄タンクもある要衝。06年には約300発のミサイル攻撃を受け、14人が死亡した。

 市は2週間前、政府に対し、港湾にあるタンクから石油や化学物質を別の場所に移すよう要請し、移転作業は既に完了した。ヨナ・ヤハブ市長(80)は「イスラエルとヒズボラが政治的に合意し、全面紛争が起きないことを願う」と語った。

 街での備えも進む。多くの家には防空壕が設置されている。地下鉄の駅などに100か所以上の公共地下防空壕を整備し、空襲警報が鳴った際には自動で扉が開く。市内の6地区に地下司令室を設置し、被害の状況をモニターで確認できる。

 軍は対空防衛システム「アイアン・ドーム」を配備し、防御措置を取る。軍のダビド・アブラハム少佐(27)は「ハイファがヒズボラの標的であるのは分かっている。我々はあらゆる脅威に対して万全に備える」と強調した。

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