1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 社会
  4. 社会

巨大地震注意 備えを点検する契機にしたい

読売新聞 / 2024年8月20日 5時0分

 南海トラフ地震の臨時情報(巨大地震注意)に関する政府の呼びかけが終了した。ただ、巨大地震の危機が去ったわけではない。今後も情報発信のあり方を点検していきたい。

 臨時情報は、南海トラフ地震の想定震源域にある宮崎県沖の日向灘で発生したマグニチュード(M)7・1の地震を受け、「巨大地震が起きる可能性が平時より高まった」として初めて発表された。

 対象の29都府県707市町村に、1週間、地震への備えの再確認などを求めた。

 夏休み期間中で、旅行や帰省の予定を中止したり、日程などを変更したりする人もいた。一部の地域では、水や防災用品が品薄になる店舗もあった。

 それでも、総じて大きな混乱に至らなかったのは、住民が政府の情報を冷静に受け止め、落ち着いて行動した結果と言える。

 一方、自治体では、海水浴場を閉鎖するか、花火大会などのイベントを中止するかなどを巡り、判断が分かれた。津波の到達時間や避難誘導計画の有無など、地域の事情の違いが表れたのだろう。

 呼びかけによって社会活動をどこまで制限するか、明確な基準が決められているわけではない。人によって受け止め方も異なり、判断が難しい問題ではある。

 今回の呼びかけは、家庭や職場で、いざという時の行動を確認する大事な機会になったのではないか。政府や自治体は、今回の対応を振り返り、これまで見逃されてきた課題がなかったか、検証してもらいたい。

 次にいつどこで巨大地震が起きるか、現在の科学で完全に予測することはできない。政府の呼びかけ期間が終了しても、もともと「30年以内に70~80%」とされている南海トラフ地震の発生確率が変わったわけではない。

 臨時情報には、今回発表された「巨大地震注意」のほかに、より切迫度が高い「巨大地震警戒」もある。こうした情報提供の仕組みに初めて接し、どの程度の警戒が必要なのか、戸惑った住民や自治体関係者も少なくなかった。

 政府は、日頃から臨時情報の仕組みについて周知し、発表の際には、一般の人が分かりやすい説明に努めるべきだ。

 臨時情報発表の翌日に、神奈川県で震度5弱の地震があった際には、「南海トラフとは構造的に異なり、関連はない」との情報が出された。こうした科学的知見に基づく情報発信は、混乱やデマの拡散防止に役立つのではないか。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください