巨人・井上温大、ルーチンは試合前の球拾い…桑田二軍監督の助言「打者のスイングや打球を見て覚える」
読売新聞 / 2024年8月21日 12時0分
[THE GIANTS 2024]
6月から先発ローテーションの一角を任される井上温大(23)には、ルーチンがある。試合前練習の「打球捕」。野手が行う打撃練習の球拾いだ。
今月1日、炎天下の甲子園でのこと。阪神戦を前に選手の多くが早めに練習を切り上げていた。そんな中、ブルペンでの投球練習後、汗だくの井上が外野の中堅付近に向かう。いつものように、最後の打者が打ち終わるまで打球を追った。
きっかけはプロ初登板を果たした一昨年、当時投手チーフコーチだった桑田二軍監督にもらった助言だ。「打者がどんな球を打ち、どんな打球が飛ぶのか。見て覚えることも大事」。その言葉を思い出し、先発機会が増えた今季途中から実践している。
打撃投手は、選手が打ちやすい球を投げることに気を配る。それでも低めはゴロになり、高めは飛距離が出る確率が高い。投球のコースや高低と打球の関連性だけでなく、「内角球をきれいに打っている」、「逆方向を意識している」といった具合にチームメートの構えやスイング軌道を観察することで、試合で似たタイプの打者と対戦する際に「今までより(打者のことを)考えながら投げられるようになっている」そうだ。
桑田二軍監督には、もう一つ狙いがあった。「先発投手の登板は週に1度。野手に守ってもらい、打ってもらわないと勝てない職業。だからこそ、球拾いも大事。野手もその姿を見ているから」。チームを代表してマウンドに立つ投手の立ち振る舞いを、身につけてほしかったという。
11―1で大勝した17日のDeNA戦。6回1失点と試合を作り、6勝目を挙げた。阿部監督が「援護のある試合が多い」と言ったのも偶然ではないかもしれない。「(先発機会が)まだ何試合かある。いけるところまで、勝てるところまで勝ちたい」と井上。5年目の左腕が、終盤戦のキーマンになりそうな気配が漂ってきた。(財津翔)
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