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指揮者・秋山和慶が語る無心の60年…東響と記念公演、師の教えを「心棒」に意欲満々

読売新聞 / 2024年8月23日 17時0分

「この先あらためてやりたいのはマーラー、そしてモーツァルトかな」=後藤嘉信撮影

 戦後日本のオーケストラ界の「生き字引」的存在で、今年デビュー60周年を迎えた指揮者の秋山 和慶 かずよし(83)が、9月21日に東京・赤坂のサントリーホールで記念コンサートを指揮する。オーケストラは共に歩んできた東京交響楽団だ。(松本良一)

 今も年間50回を超えるコンサートを指揮し、「苦手な音楽はない。何でもできる」とさらりと言う。古典から現代まで膨大なレパートリーを誇り、さらに「新しい曲を勉強する時間がもっとほしい」と意欲満々だ。このバイタリティーはどこから来るのか。

 23歳で東響の指揮者に就任した際、恩師の斎藤秀雄から「自分を売り込むために音楽を利用するな」と厳命された。「その教えが自分の心棒になっています。とにかく無我夢中でした」と振り返る。

 無心で音楽と向き合う誠実な姿勢は、ある種の匿名性を帯びた演奏として音楽そのものの魅力を聴き手に届ける。その精髄は、2015年に出した回想録「ところで、きょう指揮したのは?」(共著、アルテスパブリッシング)で、書名通りにユーモラスに描かれている。

 1970~90年代に北米のオーケストラにポストを持ち、今でもカナダ・バンクーバーに家があるが、これまで1350回以上共演を重ね、長らく音楽監督・常任指揮者を務めた東響には特別な思い入れがある。「最近は若い楽団員が増え、音楽はより柔軟さを増し、技量もさらに向上した」と成長を喜ぶ。

 今回選んだメインの曲は、ブルックナーの交響曲第4番「ロマンティック」。「ブルックナーを指揮していると、音楽が体現する『自然』の中に入っていき、自身が森や山になるように感じる」。東響でブルックナーを振るのは14年ぶり。楽譜を徹底して読み込むアプローチは若い頃から変わらないが、「よりロマンチックなものにひかれるようになったかもしれない」と話す。

 6歳年上だった同窓の先輩・小沢征爾が世を去り、恩師から指揮法を直伝された指揮者も少なくなった。貴重な生き証人だが、特別な気概はない。「人生の最後は演奏会で棒を振りながらフーッと倒れてそのまま……というのがいいなあ」と苦笑い。そんな冗談を飛ばせるほど「秋山節」はまだまだ健在だ。

 午後6時開演。曲目はほかにベルクのバイオリン協奏曲(独奏=竹澤恭子)。(電)044・520・1511。

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